DIY大家の覚え書き@TOYAMA

富山にて不動産投資で経済的独立を目指す戦いの記録

中古エアコンの設置②:フレア加工と真空引き

 前回はトルクレンチの使い方を誤り、配管のフレア部分をねじ切ってしまった。

 

hacchi6.hatenablog.com

 このままでは配管を接続できないため、改めて自分でフレア加工をする必要が生じた。その日のうちにフレアリングツールセットを注文、数日後届くとすぐ作業を再開した。

 1.フレア加工は練習必須

 購入したフレアリングツールはTASCOの「STA550AH」

 安いものであれば1万円を切るものもあるが、メーカーは聞いたことがないところのもの。フレアの出来が悪ければガス漏れに直結する。あとのトラブルを避けるためにもここは確実なものを選んだ。

 さらに冷媒管を切断するためのカッターと、面取り用スクレイパーも用意した。

 まずはねじ切ってしまった冷媒管の先端をカットする。

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 最初は冷媒管をカッターで軽く挟み、管を一周させて直線上の跡を付ける。それから挟む強さを上げて切り込みを深くしながら回転させる。少しずつ切り込みを深くすることで、カットした断面はよりキレイに仕上がる。断面が斜めになっていないかを確実に確認しておく。斜めのままフレアを作れば、真円にはならず歪んでしまうだろう。

 カット出来たらその断面の面取りだ。スクレイパーを断面に挿入し、回転させてバリの部分を削ぎ落とす。このときに削りカスは一切残さない。残っているとフレア断面に傷がつく原因になり得る。

 以上が下準備。ここまでやってからフレア加工に移る。

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 冷媒管をフレアリングツールの該当するサイズの加工穴に挟み込む。挟み込んだらツールの説明書に書かれているとおりの手順で加工できる。だが、フレア加工で最も重要なのがこの挟み込み具合だ。

 冷媒管を挟む部分をゲージバーと呼ぶが、このゲージバーの断面からどのくらい管を出すかで、フレアの大きさが変わってくる。一般的に断面よりも少し管を出すくらいが、ちょうど良い大きさになるらしい。断面と同じ位置では少し小さいようだ。

 何度か作ってみたがオス側に接続してみると、微妙に大きさが合わなかったり、キレイな円にならなかったりする。この感覚は何度か練習してみないと掴めない。本番の作業前には使わない冷媒管で、その感覚を掴んでおくことが大事だろう。私は取り付けに使用する管で練習していたが、あまりにも失敗しすぎると、取り付けに必要な長さが足りなくなる可能性もある。

 またよくある失敗が、フレアを締め付けるナットを入れ忘れたまま加工することだ。フレア加工した後ではナットを入れることはできない。管を切断した段階で忘れず付けておこう。

2.配管の接続と真空引き

(1) 配管の接続、普通は「黒・白・赤」の線

 フレア加工ができたら室内機と室外機を取り付け場所に設置し、配管を繋いでいく。

 前回も述べたが配管の接続は、基本的に屋外側で行うようにしたい。室内機を背板に取り付けて、ペアコイル・電気線・ドレンパイプを壁穴から出す。そして屋外の配管穴出口付近でそれらの接続を行う要領だ。室内側でこれらを接続してから室内機を設置しようとすると、配管が壁を通らないことがあり得る。

 室内機側の配管と接続できたら室外機とも接続していく。

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 これは室外機側の電気線なのだが、正直私はこのまま接続して良いものか混乱した。元々室内機側からの電気線は「黒・白・の3色で繋がっていた。しかし室外機側の接続部は「黒・白・である。良く考えると私がこれまで接続したどのエアコンも、中古だったが電気線は全て「黒・白・であった。

 本来緑は「アース線」である。まさかこの緑部分をアース部に接続しなければならないのか、と思ったのだが冷静に考えると線が何色に塗られていてもその機能は一緒だ。

推測だがこのエアコンを以前繋いだ業者は、「黒・白・の線が手元になかったため、余っていた「黒・白・の3本線を使ったのではないだろうか。どうせ見えない部分だし、機能的には何の問題もないのだからと。

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 多少混乱したものの電気線を繋いで、冷媒管も室内機側と同じように接続する。ナイログをオス側に塗って、手でナットを限界まで締め、最後を増し締めする。再びトルクレンチでフレアをねじ切ることが怖かったので、適度な締めで止めた。この点も次回の設置までには練習を積みたい。

 また最も確実な方法は、ラチェット型のトルクレンチを使う方法のようだ。これは普通のトルクレンチより、さらに値が張る。 余裕があれば導入しても良いだろう。

BBK RTQ-550 ラチェットトルクレンチ(1/2)
 
(2) 真空引き、チャージバルブは必須

  配管が全て接続できたら真空引きだ。

 まずエアコンの真空引きとは何か。私の理解によれば配管内の空気を追い出し、そこへ冷媒ガスを充満させることで、ガス内に不純物を混ぜないようにするもの。純度の高いガスであれば冷却機能も維持できる。ガスの濃度が薄くなればエアコンの冷えが悪くなる。

 DIYで真空引きを行うためには最低限

   真空ポンプとマニホールドゲージ

が必要だ。私が使用しているのはアマゾンや楽天でも最廉価のものだ。 

  メーカーは中国だか台湾のものらしい。色々安っぽくて微妙な点はあるのだが、素人レベルのDIYには十分だと思う。ただ、このセットだけではR32やR410の冷媒ガスのエアコンに繋ぐと不備がある。追加で購入が必要なのが「チャージバルブ」である。 

  これを以下の写真のように、室外機とマニホールドゲージを繋ぐ青いホースのコネクターとして使用する。この理由なのだが、R32とR410の室外機のバルブは「虫ピン構造」になっている。バルブの奥を押すと中と外が繋がるということだ。このチャージバルブはピンク色の部分を回すと、バルブからピンが押し出されるので室外機と青いホースで繋がることが出来る、ということになる。

 私は最初に真空引きを行った際、それが分からなかった。実はこのキットだけでも室外機に繋ぐことはできる。一応真空引きをすることはできるのだが、問題は最後にホースを外すときだ。ホースの先端はナットになっていて、ナットを締めればピンが押せる。

 しかしホースを外すためナットを緩めていると、虫ピンが戻る前にガスが抜けてくるのだ。ナットとホースを速攻で引き抜けば、ガスが抜ける量は最小限で済む。しかし抜けることに変わりはない。

 このチャージバルブを使えば、ナットを緩める前に虫ピンを戻せる。それからナットを外せばガスは一切漏れない。このようなことはアマゾンなどの商品説明には記載されておらず、数あるレビューから判断するしかない。しかし、未経験の人がいきなりそこまで理解することは難しいだろう。

 ちなみにこのマニホールドゲージがあれば、カーエアコンのガス補充も自分で簡単にできる。ガソリンスタンドや車屋に頼めば5,000円前後かかるが、自分でできればガス缶代だけ、半額以下だ。

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 真空引きの流れはブログやYOUTUBEでいくらでも勉強できるので、色々見てみると良い。私が毎回参考にしているのはこのブログ。

何が楽しいの?と言われても・・・:エアコン取り付け工事の記録 その3

 この通りの手順で接続し、バルブを開け、ゲージの針で真空を確認するだけ。迷わずに作業できれば30分もかからない。真空状態になっているかどうかは、青色のゲージの針がポンプを切っても動かないかどうか。これが動いて空気圧が増えるようならどこかから空気が漏れているサインだ。

 漏れる可能性があるのはほぼフレア部分、室内機と室外機側で合計4箇所ある。そのどこから漏れているかを特定するには「石鹸水」を使うのが最も簡単だろう。泡立ちの良い石鹸水を4つのバルブ付近にハケで塗る。そこで泡立つようならそこの接続が甘いのだ。

 このガス漏れの確認は、実際にガスを配管内に充満させる前に行っている。そのための真空引きだ。ガスが配管内に充満してから漏れに気づいた場合、そのリカバリーはどうすることになるのだろうか。恐らく多少漏れていようがそのままポンプダウンして、再度室外機にガスを回収してから配管を繋ぎ直すのだろう。

 私のような素人は、ゲージの針で確認した上で、各フレア部に石鹸水を塗っている。そこまでやれば万が一にもガス漏れは起こらないはずだ。そこまで確認した上で室外機からガスを開放する。そうすれば真空引きは完了となる。

3.室外機が起動せず……灯台下暗しなミス

 ここまでできれば後はエアコンを試運転して、ちゃんと冷えるかを確認するだけ。

 早速リモコンを入れ、室内機を起動させる。

 冷房にセットすると冷たい空気が………でない。

 出てくるのは生ぬるい、送風といった感じの風、おかしい。

 改めて室外機を見ると、ファンが回っておらず起動していないのだ。

 

 そんなばかな、という思いに駆られるが冷静に考える。室内機は通常通り起動している。なのに室外機が起動しない理由があるとすれば、室内機から電気が通っていないことしか考えられない。

 真っ先に思いついたのが、先に述べた3色の電線問題だ。やはり緑の線はアース線に繋ぐべきなのか、などと思いもしたが……その可能性はどうも薄いと感じた。室内機と電気線はリングスリーブで繋げたし、可能性があるとすれば

  「室内機の大本部分が3色線に繋がっていない」

ということくらいだった。

 このエアコンは中古である。全く想定外の部分の線が外されているかもしれない。室内機の裏側は最初に確認している。しかし、室内機の前面パネル内にも端子はなかったか……?

 この点に気づいた私は速攻で室内機前面を確認した。

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  ここだったのか!まさかこんな部分も切断してあるとは想定していなかった。正直なぜここの線を切るのかが分からない。とにかく原因は分かった。後は奥側から線をペンチで引っ張り出し上の「1・2・3」の端子に繋ぐだけ。

 これだけでエアコンは冷涼な風をパワフルに吹き出し始めた。

 つくづく、こんなところで躓くのは私が素人だからなのだろうな、と思った。

 後は屋外の配管をテープなどで保護して、形を整えておくだけだ。見栄えを重視するならケースなどを外壁に設置しても良いだろう。

4.おわりに

 以上がエアコン設置の流れだ。この一連の作業は家庭用エアコンならほぼ共通していると思う。このスキルを身に着けられれば、長期的にはエアコン絡みの費用をかなり節約出来るはずだ。ただし道具などの初期投資は必要だし、作業に失敗したときは予想外の出費に見舞われることも覚悟しておくべきだろう。

 私がさらに身に付けたいのは「ガスの補充」である。ガス自体もアマゾンで比較的手頃な価格で売っている。今後はガスが抜けているエアコンを格安で入手して、それで補充の練習をする、などをやってみたい。

 真夏に入居者からの、エアコンが冷えない、といったクレームに自分で対応できれば、かなり強みになるだろう。

 

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