タイル張りの風呂をリフォーム①:作業の方向性
築古物件のリフォームで最もコストがかかるのが、風呂だと思う。在来工法の風呂をユニットバスに交換する工事を業者に頼めば、百万単位の金がかかってもおかしくない。そのため物件を購入する段階で、風呂はリフォームされていることが望ましい。
とはいえ昔ながらのタイル張りの風呂もまだまだ存在しており、これをいかに低コストでリフォームできるかがボロ物件の勘どころになるだろう。2号物件も在来工法の風呂で、壁も床もタイル張り。
今回はどうリフォームするかを検討していきたい。
1.0.5坪の風呂、壁と床はタイル張り
上の画像が2号物件の風呂だ。壁は天井までピンク色のタイル張り。ところどころにヒビが入っている。床にもタイルが張られている。風呂釜も昔ながらのステンレス製。広さは大体170cm✕90cm。0.5坪サイズで風呂の中でも最小のものだろう。蛇口は白かったであろう樹脂部分が変色しており、清潔感のかけらもない。風呂釜は問題なく使えそうだ。
これをどう料理するか。蛇口は交換すれば良いとしても、問題は壁と床だ。
2.床は浴室用シートを貼る方針で
床でDIYできる方法を調べていると、大抵の人が
タイルの上にシートを貼っている
ことが分かってきた。
サンゲツや東リなど各メーカーが、風呂用のクッションフロアとして色々な商品を出している。性能によって値段は異なるが一部屋5,000円程度で切り売りしている。
また各メーカーはこれらのシートを貼るための部材セットを販売している。接着剤やタイル用のセメント、シーリング材などが一つになっている。だがこれが非常に高い!シート本体の価格と同じか、それ以上の値段のものもあるのだ。
私は正直それぞれのシートの性能差などは分からない。デザイン的にも似たりよったりなので、とりあえずコストで選ぶことにした。代表的なシートとして
・サンゲツ製 「プレーンエンボス」
・フクビ製 「ペディシート」
・東リ製 「バスナフローレ」
の3つが挙げられる。
それぞれの値段について1メートルあたりで計算すると
プレーンエンボス 4,270円
ペディシート 4,300円
バスナフローレ 8,950円
程度であった。評判を見ているとバスナフローレは他のものより厚みや高級感があるようだ。またペディシートは2メートルからの販売しかしておらず、購入は最低限だけで済ませたかった私は「プレーンエンボス」を購入した。
問題はシートの接着剤とタイルをならすためのセメントだ。
サンゲツが販売している浴室シート用の材料パックは
13,629円
という相当な値段だ。
恐らくこれを使えば間違いはないのだろうが、流石に高すぎる。使う分量を考えてもかなり余らせてしまうだろう。
そこで何か代用品を使っている人はいないかと探してみると、他のボンドや風呂用のセメントで施工している人が何人かいた。
こちらのブログでは代用品として
・接着剤 コニシ「ボンドエフレックス」
・セメント トーヨー「バスセメント」
が挙げられていた。シーリング剤とセメントは大抵のホームセンターに浴室用のものが売られているので、同じものでなくても構わないと判断した。ボンドエフレックスはなかなか見つからず、ネットで注文した。似たボンドはあったが、シートが剥がれてくることを考えるとここは同じものを使いたかった。
3.壁はパネルを貼るか、タイルを塗装か
壁をどうするか、については
「タイルの上からパネルを上貼り」か「タイルに塗装する」
に分けられるようだ。それぞれのメリットとデメリットを検討する。
(1) タイル全体に浴室用のパネルを上貼りする
・仕上がりが良い、長持ちする。
・コストが高い、作業難易度が高い。
(2) タイルに塗装する
・作業は簡単、コストも安く上がる。
・タイルへの塗装は推奨されず、剥がれやすい。
(1) 浴室用パネルの検討
まず(1)のパネルを検討してみる。
このパネルもいくつかのメーカーが似た商品を出している。その中でも低コストで何種類も扱っているメーカーが、フクビ化学工業である。フクビの浴室パネルの中で、低コストな商品として
「アルパレージ」と「バスパネルEX」
が挙げられる。ネットではこれらのパネルを必要な枚数分購入できる。しかし、床のときと同様にメーカーは、「パネル用の接着剤」や「パネル同士のジョイント用パーツ」を別で販売しており、それらも購入する必要がある。
今回のリフォームでどれだけの部材が必要になるかを、それぞれのパネルごとに計算してみた。
・アルパレージ
1枚 910mm✕2450mm 1枚あたり14,300円
今回の必要枚数 約5枚 14,300✕5=71,500円
接着剤 パネル5枚分 約14,520円
他ジョイントや入隅出隅用パーツ 約5,000円
合計 約91,020円
・バスパネルEX
1枚 300mm✕2000mm 1セット6枚入りで1坪分 16,649円
2坪のセットで29,780円
必要量は約3坪分なので 約46,429円
専用接着剤等なし。
パネル本体だけみればバスパネルEXの方が安い。しかしここには問題がある。まずバスパネルEXのサイズだが、高さ2000mmとアルパレージより450mm短い。このサイズ感は、今回の浴室では床から天井までの長さが2100mmを超えるため足りない。その分カットして埋めることはできるのかもしれないが、不安要素になる。
またアルパレージと比べ、バスパネルEXはDIYでの作業報告が見当たらないのだ。アルパレージの記録は
これらのブログを見て作業すれば十分可能だろう。
しかしバスパネルEXに関しては見当たらない。専用の接着剤や見切り材がないことがDIYのハードルを上げているのかもしれない。
確実な方法はアルパレージになるが、コストと労力は相当なものになることはお分かりいただけると思う。
(2) タイルへ塗装の検討
基本的にタイルへの塗装は推奨されない。普通にペンキを塗ったところですぐに剥がれてくることは、感覚としてわかると思う。もし確実に塗装しようと思えば、タイル表面に協力な溶剤をかけて溶かし、その上で塗料を吹き付ける、などといった専門的な工程を踏む必要があるようだ。
これは専門業者による作業だが、これはDIYでは不可能だろう。
とはいえ、DIYでタイルに塗装する例は調べると結構多い。だがそれらはキッチンやトイレのタイルに施工していることが大半だ。浴室のような水が頻繁にかかるところに塗っているのは少ない。施工上推奨されているのが、下地には「ミッチャクロン」を下塗りしていることだ。
ある程度タイルをサンディングしてミッチャクロンを塗る。その上からペンキを塗るといった方法だ。パネルを貼ることに比べると、コストと手間の面の両方から見ても効率的である。
しかしペンキを塗ったとして、いずれ剥がれてくることは明白だ。問題はどれだけの期間が保つのか、といった点だった。この点についても報告はなく、未知数である。だがコスト面がパネルと比べて、圧倒的に安く上がるのは魅力的だ。
そこで私は、ミッチャクロンとペンキを使った実験をしてみることにした。
実際にタイルへ試し塗りをして、それで剥がれないようなら塗装の方向でやってみることにする。いきなり壁全面に塗ってから、すぐに剥がれてきたのではダメージが大きいからだ。もし試し塗りでダメならパネルを貼る方向へ変更することにする。
4.おわりに
今回浴室のDIYについて検討したが、まとめると
床は簡単、低コストで誰でもできそう
壁は難しい、確実なパネル貼りは費用がかかる
ということだ。
これらの点を踏まえまずは床から施工し、試し塗りの結果を踏まえて壁をどう施工するかを考えることにした。
次回は床面の施工結果について書いていきたい。
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