DIY大家の覚え書き@TOYAMA

富山にて不動産投資で経済的独立を目指す戦いの記録

読書メモ「不動産投資成功へのイメージトレーニング:沢孝史」

 出口戦略まで考える不動産投資本として各所で評価の高い一冊を紹介する。

   不動産投資成功へのイメージトレーニング:沢孝史

 

 

 物件の売却まで見据えた内容で、初心者が読むには少し難しい。

 印象的な言葉は

   「不動産投資で表示される利回りはそもそも利回りではない」

   「物件を買うことが目的ではなく、買うことで利益を得ることが目的」

というもの。

 不動産投資で言われる利回りや利益、キャッシュフローなどについて本質的な理解を深めるには最適の1冊だ。

 

1.キャッシュフローは操作できる

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 不動産投資においてキャッシュフローは重要だ。

 物件購入前でもこれがどれだけ出るのか、この点を重視しすぎて購入の判断材料にすると思わぬ落とし穴にハマりかねない。

 まずキャッシュフローは操作できるものであり、利益ではない。

 キャッシュフローを形成する要素は次の3つに分けられる。

 (1) 家賃収入(物件購入前にほぼ確定、相場でも変化)

 (2) 金利支払い(リスク評価)

 (3) 元金返済額(返済期間)

 この3要素を変化させることでキャッシュフローはかなり上下することになる。

 キャッシュフローを大きくする基本的な手法は

   返済期間を長くする

というものだ。

 例として挙げられているケースでは、

   返済期間を20年から30年の1.5倍

とすることで

   キャッシュフローは1.8倍

にまで上昇している。

 家賃収入に対する返済比率も

   20年返済 76.5% → 30年返済 56%

とすることができている。

 返済期間を長くすると、一見して儲かっているように見えるのだがここには落とし穴がある。

 返済期間が長くなればなるほど、金利支払いの割合が大きくなり、30年なら返済額の半分近くが利息分になってしまうのだ。

 そうなれば実質的な利益はずいぶん薄くなってしまうだろう。

 

 また返済期間を長くすることに加えて、金利を上げる手法もある。

 金利が高いということは、それだけ金融機関が貸し倒れのリスクを高く見積もっているということになる。

 それでも物件を買いたい場合、返済期間を長く取りたくなるが、そうなればますますリスクも上がるので金利も上がる。

 重要なのは

   買いたいばかりに金利を挙げてまでキャッシュフローを重視するべきではない

ということだ。

 この点は「早く家賃収入を拡大してリタイアしたい」と考える大家が陥りそうな罠である。

 ここで大切なのはキャッシュフローではなく「本当に利益になっている金額」であり、著者はこれが「元金返済額+キャッシュフローの中にあると説明している。

 

2.投資の本当の利回りとは

 不動産投資における本当の利回りは

   (1) 物件の収入(家賃)

   (2) 一般経費

   (3) 支払い金利

   (4) 将来の物件価格(流通価格)

で決定され、これらの要素は現在の状況から計算することができる、という。

 物件購入時点において上記(1)~(3)の要素は高い精度で予測が可能だ。

 問題なのは(4)の流通価格だが、これを形成する要素を分解していけばある程度まで予測はできるという。

 流通価格

   (1) 立地(最大の評価項目)

   (2) 建物構造(耐用年数、解体費用等)

   (3) 用途(住居用、商業用等)

   (4) 融資の条件(担保評価、市況等)

によって形成され、それぞれの要素は重なり合う部分もある。

 本当の利回りは最終的に物件を売却しないと確定しない。

 だが物件を購入する前から、本書で挙げられている数々の手法を駆使すれば、かなりの精度で予想することができそうだ。

 正直一読した程度で身につけることは難しいが、実践できれば大きな失敗はしないだろう。

3.投資規模拡大の壁

 投資規模が小さい間は、金融機関の融資姿勢は

   担保価値と借入金残高のバランス

を重要視する。

 要は物件の担保に加えて自己資金を入れ、貸し倒れのリスクヘッジをさせるのだ。

 しかし規模が拡大すると、この物件の担保価値のリスクが増大することになる。

 担保として見積もっている金額で売却が可能なのかどうか、これは実際に物件を売ってみないと確定しない。

 その未確定な部分が大きくなると、金融機関も気がかりになり融資姿勢が慎重になるのだ。

 ここで必要になるのが物件の売却だ。

 売却することで物件の含み益、含み損が現実化し、物件の評価リスクがその分軽減される。

 それで利益が出ているのであれば投資全体としての信憑性が増すので、新たな借り入れが可能となるのだ。

 つまり

   やみくもに規模の拡大を続けていては、いずれ壁にぶつかる

   大きな投資をしている=成功ではない

ということだ。

4.おわりに

 物件の拡大を考えるなら金融機関からの借り入れは当然必要となる。

 だが資金のレバレッジをかければかけるほど、物件購入時の判断がその後の成否を分かつことになる。

 下手をすれば自分がどんなに働いたところでリカバリ不能な状態に陥りかねない。

 この本で挙げられている各種の計算などは、成功する大家であれば必ず行っていることだと思う。

 正直このイメージトレーニングはかなり大変で頭を使う。

 しかしこういった計算を当たり前に行えなければ成功することは夢でしかない。

 本書で扱われている物件はアパートが多いが、戸建ての投資においても必須だと実感した。

 今後物件購入を検討する際は、必ずこの本を読み返し、出口までイメージして判断したい。

 

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