壁の漆喰塗り⑤:漆喰の本塗りするも……最悪の結果「アク」の発生
前回まででコテの使い方を練習し、ある程度分かってきた。
そのため残っていた三面の壁にも下地材を塗っていく。
1.練習のおかげでコテがスムーズに使えるように!
半日に及ぶコテの練習をした後、石膏ボードに下地材を塗る作業を再開した。
セオリー通りに「壁の左上→右上→左下→右下」の順に塗っていく。角の部分はコテを回して尻の部分で塗る。コテに材料を乗せるときも、コテ返しができるようになり、床に材料を落とすことも減った。
結果として効率は一気にアップし、ぶっつけ本番のときは壁を一面塗るのに
3~4時間近く
かかっていた。しかしコテの練習後は、一面塗るのに
1時間もかからない
くらいにスピードが上がったのだ。
さらに上達したのはスピードだけではない。仕上がりのクオリティだ。
上の写真の左側の面は、コテの練習をせずに塗った面だ。右の面は練習後。
仕上がりの違いは一目瞭然だ。左は材料がムラになっており、かなりのデコボコがある。灰色のところは、大抵厚く塗りすぎているのだ。
反対に右の面は厚みが、ほぼ統一されている。下塗りの段階で平らにできていると、漆喰で仕上げるときやりやすくなる。
こちらは天井付近。少し時間をとって練習するだけで、これだけ仕上がりが違ってくるということがお分かりいただけるだろうか。
2時間程度で残りの3面に下地を塗り終えて、一日置いてから漆喰の仕上げに移る。
2.漆喰の仕上げ塗り、扱いは慎重に
次の日になると下地は完全に乾いている。いよいよ漆喰を塗ることになる。
使う漆喰は
富士川建材工業の「白い壁」20キロ入りで3,800円。これをスコップでバケツにすくい、水を少しずつ加えながら混ぜる。混ぜるときはインパクト用の撹拌棒を使うと楽。
漆喰を混ぜる時に注意。粉の漆喰は粒子が非常に細かい。石膏の下地材と比べて空気中に舞いやすいのだ。最低限マスクを着用しよう。マスクをしていても鼻から入ってきてむせることが多い。
また漆喰は肌に付着すると、肌荒れの原因になる。手袋や長袖は必須である。私も今回素手で漆喰を扱い、練った漆喰が手に付いてしまったときがあった。しばらくしてから洗い流しはしたが、手の中の油分を吸い取られたような感覚になった。まさに水仕事をしすぎたときのような、手の突っ張ったようなヒリヒリとした痛みに悩まされることになったのだ。防止策として、ゴム手袋とアームカバーなどは用意するべきだろう。
漆喰は下地材と比べて、水で練ったときの粘度が高い。水分を控えめにしておけば板から落ちることも少ないだろう。コテに載せて下地と同じ要領で塗っていく。薄く塗りすぎると下地の色が透けて見える。多少厚めに塗る。
最終的に模様を付けるか、平らにするかで塗り方はことなる。しかし、素人が真っ平らにすることは困難なので、最初は「ラフ仕上げ」と呼ばれるようなコテ波を付ける方法が無難だ。模様の付け方もこの動画で紹介されている。
この練習で楽しく早くキレイにプロ仕様 左官の塗り壁 【珪藻土】や【漆喰】壁の塗り方の技術コテきり返し!ぜひ覚えてみて下さい。さあ、楽しみだ!【塗り壁DIYトレーニング④】
一度練習しておけば、それっぽい模様を付けられるようになるだろう。
形としては「C」字や「つ」、「S」を描くようにコテで跡を付ける。慣れていないとそのときに塗った部分を剥がしてしまう。上手く仕上げるには慣れが必要だ。
また跡を付けるには一度塗った後に、上から少し材料を付けてコテ波をつけていくことになる。しかし一度塗った面が乾いてくると、上塗りが非常にしづらくなるのだ。漆喰の壁は吸水性が高い。そのため上塗りの漆喰を吸い付けるため、コテも強い力で引っ張られ、塗った部分に食い込ませてしまうことになるのだ。
そうなるまえに仕上げる必要があるので、一度塗った部分への上塗りは
夏場なら15分以内
には終えるようにしたい。
漆喰はまずデコボコが酷い下地の面に塗っていった。下地が酷い出来でも最終的にはラフで仕上げるので、見た目には誤魔化しが効いた。練習の甲斐あって時間もそこまでかからず一面を仕上げ終える。まずは乾いたときにどうなるのかを見守る。
漆喰が乾くにはそれなりの時間が要る。夏場であっても固まるまでは、5時間以上はかかるだろう。扇風機を回しておくと、乾燥を早めることはできる。そして固まってくるにつれ、私が最も恐れていた事態が起こっていることが分かったのだ。
「アク」である。
3.下地が石膏ボードであっても、「アク」は出る!
写真からでも何となく分かると思うが、まだら模様のように
黄ばみ
が出てきているのだ。これは日光の入らない状態だと分かりやすい。塗った一面の所々にこの黄ばみが出てきているため、到底無視できるものではなかった。
まず試してみたのが、アクの上からさらに漆喰を塗り重ねることだ。これは塗ったときは見えなくなっても、乾燥してくると上塗りの部分にもアクがにじみ出てくる。このへんはペンキと同じである。
こうなるともはやシーラーなどの対策をする他ない。そのため再び建材屋へ赴き、アクについて相談してみた。そこで教えて貰ったのは
・下地が石膏ボードでも、古いものならまれにアクが出ることはある。
・アクの対策は基本はボードに直接シーラーを塗ること。
・漆喰や下地材を塗ってしまっていても、その上からシーラーを塗って、乾燥し
たら漆喰を重ね塗りすればよい。
といったアドバイスだった。
そこで今回使用するのがジュラックスの「シーラーNB」である。
これ一つで一部屋分は塗れるらしい。施工方法として、塗り壁に直接塗る場合、塗り漏れがないように、ローラーで縦と横方向に一回ずつ。合計2回塗ることを勧められた。
また今回アクが出た要因として考えられることは、場所がキッチンであることから
煙や油が石膏ボードに染み込んでいた
という可能性が考えられるらしい。実際にプロであっても漆喰を塗ってみるまでは、アクが出るかどうか確実なことは分からないそうだ。だからプロは最初から出そうな下地にはアクどめをしてから塗っていくそうだ。
4.おわりに
ペンキで天井などを白く塗ったときでもそうだが、アクが出るほど作業のやる気を削がれることはない。これは作業のやり直しを意味し、時間をムダにした感覚が強いからだ。今後も漆喰を扱う以上、アクの問題とは向き合わざるを得ない。
プロは経験からアクが出るかどうかを判断できるらしい。しかし私のような素人は、基本的にアクは出るものだ、と考えて作業をした方が精神衛生上良いだろう。
次回はシーラーを塗ってから、さらに漆喰を上塗りした状態などを報告していく。アクの問題さえ片付けば仕上がりは目の前なのだが、やはりアクとは厄介な問題である。