砂壁への壁紙直貼り:木工ボンドを下地固め、貼り付けにフル活用
3号棟は壁全体に占める砂壁の割合が多い。
6DK中洋室は1室のみ。
他の5部屋及びトイレと脱衣所も含めて砂壁である。
その内のリビングは前オーナーがDIYしたのか、直接壁紙が貼ってある。
よって残りの4部屋をどうするかが問題となる。
これまでの物件では砂壁に対しては、石膏ボードを上張りした上で壁紙を貼ってきた。
だが今回は部屋数があまりに多く、その施工を行うことは現実的ではない。
よって今回は
砂壁に直接壁紙を貼る方法
に挑戦することとした。
1.下地固め:まず水溶きボンドで固める
築古物件の砂壁は大抵触っただけで砂がポロポロと崩れてくるものだ。
今回の3号棟も例外ではなく、この状態を下地にして壁紙を貼るのは心もとない。
恐らく壁紙をそのまま貼り付けても、表面の砂と一緒に剥がれてきてしまうだろう。
まずは下地をしっかりと固める必要がある。
固める方法として一般的なのは専用のシーラーを塗る方法だ。
せんい壁おさえ、なる商品がアサヒペンから販売されている。
しかしこの商品はかなりコストがかさむ。
せんい壁おさえは普通のホームセンターでも見かける商品だが、容量2リットルに対し価格は1,500円程度。
2リットルでは1部屋を塗り切ることさえ不可能だろう。
また他の一斗缶で販売されているペンキのアクどめシーラーにも、ある程度固める作用もあるため代用が可能だ。
しかしそれらも一斗缶18リットルで1万円近くする。
これらシーラーは固める目的で使うには不経済なのだ。
そこで採用した方法が
木工用ボンドで固める
というものだ。
単にボンドを砂壁に塗るというのも一つなのだが、壁全体にムラなく塗ることを考え、ボンドを水で溶いて伸びを良くしてローラーで塗ることにした。
広い範囲に塗ろうと思えばこうしないと効率は悪い。
ボンドと水を混ぜる割合についてだが、今回は初回ということもあり
ボンド:水= 1:2 or 1:1
で試してみた。
ボンドは一般のホームセンターで販売している最大容量のものであった、1袋3キロのものを使用した。
1袋500円程度だ。
これを水に溶いて塗れば1袋で1部屋を塗るには十分な量になる。
バケツにボンドと水を入れて、インパクトドライバーにつける撹拌機で混ぜる。
これを100均のローラーに付けて塗っていく。
だがその前に地ベラで一度砂壁をならし、出っ張りなどを取り除いておくといいだろう。
2.ボンド塗り時の注意点
必要な道具
ローラー(使い捨てになる)、バケツ、撹拌機、地ベラ
・水の割合が多いとネタが垂れやすい
施工しやすい割合を自分で試してみてほしい。
私の感覚的に1:2ではかなりネタが床などに落ちてストレスになる。
・養生の必要性は薄い
床の施工が終わっているなら必要、柱などは濡れ雑巾で拭けば足りる。
・一度ボンドを塗った部分は乾いて固まるまで二度塗りしない
砂壁は一度水分を含むと砂が落ちやすくなる。
・ローラーに付く砂はこまめに落とす
砂がついているとボンドがうまく塗れない。
・柱などはボンドが乾く前に拭き取る
ペンキほどではないが固まると取るのに苦労する。
施工後、ボンドが乾くまで数日間は見ておくべきだ。
今回施工したのは冬であったが2,3日は砂が湿り気を帯びていた。
完全に乾くまで次の作業をするべきではないだろう。
手で触れて湿り気を感じず、固まっているなら壁紙を貼っても問題はないだろう。
塗りムラなどでボンドが薄くなった部分はまだ触っても砂が落ちるかもしれない。
その場合はもう一度ボンドを塗ることもできるが、完全に固めきるのは難しいかもしれない。
ある程度の妥協も必要だろう。
また乾いた後でも地ベラをかけて凸凹をならしておくと良い。
3.固まった砂壁への壁紙貼り
いよいよ壁紙の貼り付けになる。
今回挑戦した上で分かった注意点を挙げていきたい。
・使用する壁紙は厚手で凸凹の多いデザインのものを選ぶ
どんなに砂壁を固めても下地は石膏ボードのように平らにすることはできない。
できるだけ下地の起伏を拾わないものを使う。
・のりは多めに塗る
これはのりなしの壁紙を使う場合だが、どうしても壁に貼り付きづらくなる。
・壁にボンドの原液を塗ってから貼り付ける
これが最重要かもしれない。
特に剥がれやすいのは壁の端の部分だ。
最低でも面の上下左右の端部分にボンドを塗る。
ベストは壁全体にボンドの原液を塗ることなのだろうが、現実的ではない。
・壁紙をならすときはローラーバケを使う
このローラーバケはよく使われているなでバケより、クッションがある分力を込めやすい。
壁にくっつきづらい砂壁だからこそ、入念に壁紙をならす必要がある。
そのためにこの道具は役立つだろう。
・壁紙の浮きはのりが乾くまで様子を見る
恐らく壁紙を貼った直後は中の空気が抜けない部分が多く出てくる。
これは数日経ってのりが乾くと空気が抜けていることが多い。
それでも一部抜けずに浮いている部分は出てくると思うので、その場合は壁紙用注射器などでのりを注射しリカバリーする。
・カッターの切れ味は通常より落ちやすい
下地が砂壁のためカッターの刃こぼれが激しい。
石膏ボードに比べて頻繁に刃を折る必要がある。
面の一辺を切るごとに折れば間違いはないだろう。
・壁紙を重ねたジョイント部分は全力でカットする
ジョイントの重ね断ちはカッターの刃を折った直後に全力で切る。
下地が傷つくとかは考えない。
そうしないと2枚目まで切ることができないからだ。
このジョイント部分には改めてボンドを塗って、剥がれを防ぐと良い。
4.ここまでやっても仕上がりは下地が石膏ボードには敵わない
ここまで施工の注意点を色々挙げたが、ここまでやったとしても仕上がりの出来は最低限といったところだと思う。
その出来は下地が石膏ボードと比べるとやはり落ちる。
砂壁への直貼りか石膏ボードを張ってからか、スピードとクオリティのどちらを優先させるかは難しい問題だ。
また一口に砂壁といっても種類は色々あり、細かい砂壁もあれば荒い砂壁もある。
恐らく細かい砂壁の方が難易度は低いだろう。
とにかく築古物件のリフォームで砂壁は避けて通れない。
方法は色々あるが一度挑戦し、自分に合ったやり方を見つけてみてほしい。
瓦屋根の雨漏り補修:穴をコーキングで塞ぎ様子を見る
3号棟には一部雨漏りしている箇所がある。
廊下の突き当りと横の洋室にかけて被害があるが、壁は壁紙が膨れて下地もブヨブヨになり、天井も木がふやけてしまっている。
不動産屋が言うには一年前にはなかったそうなので、最近被害が拡大したのだろう。
ここを優先して直さないことにはますます物件が痛む。
物件を購入後直ちに作業に取り掛かった。
1.被害状況の把握
雨漏り箇所は一般的には、室内の被害場所から真上付近にあることが多いと聞く。
しかし実は全く異なる場所から水が侵入しているケースもあることから、実際に確認しないことには特定できない。
今回は廊下の天井がボロボロだったので、この箇所を破壊して屋根裏を直接確認することにした。
すると写真のように屋根の野地板が見える。
その中でも明らかに傷んでいる箇所が分かり、そこを伝って柱なども雨漏り跡が続き天井へ落ちてきている。
野地板を触ってみると若干の湿り気もある。
どうやら雨漏りしているのはこの箇所で間違いなさそうだ。
続いて屋根側からも水の侵入箇所を確認したい。
屋根は瓦葺きであり、二階の窓から簡単に登れるようになっている。
私は本格的な高所作業は初めてだったので、できるだけ安全対策を取ることにした。
第一にヘルメット。
第二に地下足袋。
この2つを用意したが、さらに万全を期すなら命綱としてハーネスなども装備すると完璧だろう。
瓦屋根に登る際の注意点などを調べていると
コケの生えた瓦はものすごく滑る
ということを知った。
この物件の屋根には写真でも分かる通り、かなりの範囲に緑色のコケが生えている。
実際に地下足袋を履いて試してみると、確かにいつ足を滑らせてもおかしくない。
特にコケが水を含んでいるとまともに歩くことはできないだろう。
そこで私はまず屋根の掃除から始めた。
デッキブラシや雑巾を使ってコケを取り除く。
ヌメリが取れたことを確認したら、瓦が十分に乾燥するまで待つ。
その上でもう一度上に乗ると、今度は安全に歩くことができる程度にはなった。
2.補修の方向性
室内側から確認できた被害箇所を屋根側から見てみると、ちょうど屋根と屋根の取り合い部分というのか、水の通り道であった。
上から流れてくる水が、瓦の間に設置された板金の通り道を通して下っていき、雨樋に流れ落ちるつくりとなっている。
この板金の通り道は全体的にコーキングした跡がある。
おそらく過去にも雨漏りが多発した場所なのだろう。
通り道の突き当り部分にコーキングが剥がれたのか、穴が空いていて下地の土が手で触れるくらいになっているところがあった。
まず間違いなくここが水の侵入口だろう。
ではどうやって補修するか。
ベストは瓦を外し、傷んだ野地板を新しく取り替え、防水シートを貼り瓦を戻す、というやり方だろう。
しかしこの瓦を外すとなると一部だけでは済まず、かなり広範囲にわたり外さないと野地板の交換はできそうにない。
大掛かりな作業になり、慣れない高所作業で危険性は高い。
仮に外せたとしても、瓦の組み方を誤ると別の箇所から水が入らないとも限らない。
そのため今回はコーキングを打って穴を塞ぎ様子を見ることにした。
というのもこの雨漏りは雨の日に毎回発生するわけではなく、おそらく酷い雨のときだけだろうというのがこれまでの様子から分かるからだ。
どうしても駄目ならプロに頼むことも検討しよう。
室内側は野地板を多少補強して、破った天井は板を貼る程度に留める。
壁紙部分はOSB合板を張るに留める。
仮に新しい壁紙などでキレイにしたとしても、雨漏りが止まらなければまたやり直すことになるからだ。
3.コーキングと合板張り
屋根側は板金と瓦の間に空いた隙間をひたすら埋める。
水の通り道付近で他に怪しい部分もとりあえず埋めてみる。
だが屋根の隙間をむやみに塞ぐことで、毛細血管現象などが起こり思わぬところから雨漏りが発生することがあるので注意が必要だ。
板金部分のサビなどがあればそこに穴が空いて水が入る可能性があるが、今回そこまでの痛みはないようだった。
室内側からは、まず野地板の真下に合板を張り付ける。
今後水が入っても受け皿があることで多少マシになるように、との配慮からだ。
それから水でふやけていた天井は、ボンドとタッカーで薄いベニヤ板を張り付ける。
遠目からは板の違いは分からないだろう。
洋室の壁は下地が木の合板で直接壁紙を貼り付けている。
そのため石膏ボードを張り付けるわけにもいかないので、OSB合板をそのまま張った。
雨漏りの跡がある部屋の角を隠す形で最低限の範囲に張る。
OSB合板はそのまま張るだけで十分な見栄えとなるので使い勝手は良い。
4.おわりに
以上でとりあえずの雨漏り補修は完了。
作業から一ヶ月以上経った現在のところ、雨漏りの再発はない。
しかし今回の補修で雨漏りが止まったとしても、再発するのは時間の問題だ。
来年の夏、台風などで酷い雨が降ればどうなるかは分からない。
そうなればプロに頼み本格的な補修が必要となるだろう。
また入居者に対しても事前にその可能性があることを言い含めておく必要がある。
シロアリに喰われた床の補修:根太と捨て張り合板の交換
3号棟の戸建ては11月頭に引き渡しがあった。
それからは空いている時間のほとんどを物件のリフォームに捧げている。
次の日が休日であれば物件に泊まり込んで作業を進める毎日だ。
そのためブログの更新が滞っているが、作業内容はコツコツ記事にしていきたい。
今回は
シロアリ被害のある脱衣所
についてである。
1.根太が腐り底が抜けた床と蟻害が目に見える柱
物件を購入する前の段階から分かっていたことだが、3号棟は一階の全域にわたってシロアリの被害がある。
その殆どは床下に留まっているので直接の被害はないが、脱衣所の被害は目に見える部分に発生している。
まず床だが、フローリングを支えるための根太が数本完全に腐っていて底が抜けている。
喰われた部分は新しいものに入れ替えて、合板も補強しないといけない状態だ。
さらに柱の下部にまでシロアリは上がってきていたようで、その部分は内部がスカスカになっている。
これらをどうするかが課題となる。
2.根太の入れ替え
床の補修だがまずは古い根太や合板を取り除く。
中途半端に喰われている部分もできる限り切って交換したいが、ドアの枠周辺はノコギリも入らないので取り除ける部分に留めた。
床を引っ剥がすと基礎部分が確認できる。
現在進行系でシロアリがいないかどうかを確認してみたが、目視できる部分にはいなかった。
また購入前の段階で不動産屋が害虫駆除業者を入れて、シロアリ被害の確認をしている。
その報告書によると被害は古いものばかりで、生きているシロアリは確認できていなかった。
つまり現状被害が拡大する可能性は低いということになる。
物件決済の日、売り主さんに「いつからシロアリが出ていたのか」を聞いたところ、「数十年前から出ていたらしい」と言っていた。
確実とは言えないが、今の時点でいるかどうかもわからないシロアリのために殺虫剤を床下に撒く必要もないか、と思い喰われた部分の補修のみに留める方針だ。
来春に羽アリが出るようなことがあれば、そのときに改めて駆除したいと思う。
古い根太などはボロボロに崩れるので掃除機などで細かいものを取り除く。
そしてサイズの合った根太を変わりに入れて、接着剤とビスで留める。
その上から新しい合板をカットして根太に固定する。
正直この辺の作業はもはや慣れたものだ。
和室を洋室化したことがある人なら何ら問題なくできるだろう。
この上に既存のフローリングを固定する。
最終的にこの床にはクッションフロアを上張りする予定なので、凸凹にさえならなければ良い。
ただシロアリに喰われていたことや、根太と合板を新しくしたためかその部分は体重がかかると床鳴りがしやすくなった。
その対策として、該当箇所にビスを数本打つとどうにかその音は鳴らなくなった。
基本的に床鳴りは、根太や合板の間に隙間ができていると、体重の加わりで木材が接触して音がなる。
ビスや接着剤を十分に活用できれば防ぐことは可能だ。
3.柱の蟻害を隠す
脱衣所の柱の補修について。
まずはボロボロになった部分をカッターなどで切りつつ取り除く。
そして空いた隙間をできるだけ埋めるように根太の端材を入れて固定していく。
正直これらで埋めたところで建物の構造上の耐久性に影響はないだろうが、これだけ喰われていても部屋などに傾きはないので気休め程度だ。
その後これらを隠すために薄い合板をカットして、タッカーで貼り付ける。
とりあえずこれで見苦しさはカバーできる。
ただ実際にこの柱がどの程度建物の安全性に寄与しているのかは分からないし、何かしらの悪影響があるのかもしれない。
とはいえこの地域に生息しているのはヤマトシロアリのみ。
以前の記事でも書いたが、家を倒壊させる被害を生み出すのはイエシロアリで富山には生息していない。
よって現時点では応急処置的な対策に留めたいと思う。
4.おわりに
シロアリ対策をどこまで講じるかは難しい問題だと思う。
これが新築の自宅であれば大抵の人が専門業者を入れて、徹底的に駆除するなりするのだろう。
だが築古物件であればこの程度の被害は日常茶飯事。
ある程度の妥協はやむを得ない、と考える。
入居者にも了解を得た上で住んでもらうこととする。
今回は業者の調査が事前にあったため最低限の確認で済んだが、そういったものがなければ一度は床下全域を調査するべきなのだろう。
むしろシロアリが理由として物件を安く買えるなら歓迎したい要素だ。
今後も積極的にシロアリ物件に挑みたいところである。
物件3号棟を決済・引き渡し完了:リフォーム方針について
本日物件第3号棟となる戸建ての決済を行った。
買付けを行ってから一ヶ月足らずでの引き渡しとなった。
2号棟のリフォームを終えてから約一ヶ月で次の物件に着手することになる。
今回は今後のリフォーム方針などについてまとめておきたい。
1.物件スペック
築44年、木造2階建て、車庫付き。
駐車スペースは車庫含めて2台可能。
間取りは6DK、和室5室、洋室1室。
残置物なし、境界明示なし、車庫未登記。
以上の条件で物件価格は180万円で購入できた。
この値段は路線価で見た土地値から、解体費用を引いてもまだ安い金額である。
売りに出してから約1年間買付けも入らなかったことから、これだけの値引きに成功したと言えるだろう。
最悪建物を解体して土地として販売しても、まだ利益がでる計算となるのでかなり精神的には余裕を持っていられる物件だ。
2.3号棟の問題点
購入段階から判明しており、懸念事項となっていたのが
・雨漏り
・シロアリ被害
である。
(1) 雨漏りについて
雨漏りに関しては廊下部分と隣接する部屋の角に大きな雨染みがある。
天井はふやけてスカスカ、砂壁部分は触ると簡単に崩れてくる状態、壁紙も広い範囲で浮きがある。
雨漏り箇所上部の屋根はちょうど瓦と板金のつなぎ目にあたる部分。
雨漏り箇所の湿り具合を確認したが、雨が降っている日でも水気は感じられない。
おそらく余程酷い天候の場合だけ水が入ってくる状態なのだろう。
屋根に登り状態の確認、及び天井裏にも入ることができそうなら、その両方から場所
を特定して修理する計画だ。
それでも雨漏り箇所の特定に至らなければ、後々火災保険で修理することも視野に入れていく。
(2) シロアリについて
シロアリ被害については、目に見えるものでは脱衣所の床と柱に被害がある。
床は根太がボロボロでフローリングを支えられない状態になっていた。
また柱の下部がシロアリに喰われており、その部分はスカスカになっている。
その他にも専門業者の診断の結果、一階の床下全体に渡って、蟻道や蟻害の被害が見られる状態だった。
これらの状態を普通の人が見れば、誰もが物怖じして購入を躊躇するだろう。
だがシロアリに関しては、正しい知識を持てばそこまで恐れるものではないことが分かってきた。
以前取り上げたシロアリ対策の本を1冊読むだけで、シロアリが世間で嫌われ恐れられているのは過剰反応だと思えてきた。
私の認識としては
・どんな住宅であってもいずれはシロアリの被害に遭うもの。
・広い生息範囲を持つヤマトシロアリであれば、家を倒壊させる被害にはなりえな
い。
・過剰な薬剤散布は必要ない。
といった具合だ。
物件の売り主に以前のシロアリ被害を確認したところ、30年以上前からシロアリが出ていたようだ、ということだった。
業者の調査段階でも生きたシロアリは確認できておらず、私が覗いた範囲でもシロアリはいない。
そうであればボロボロになった木部を補強、入れ替えを行えば十分だろう。
できれば床下全域に潜り、新しい被害がないことを確認したいと思う。
3.リフォーム方針
全体的な印象としては、典型的な昭和40~50年代の戸建て、といった感じ。
壁は1室の洋間を覗いては全て砂壁か繊維壁。
間取りも古臭くそれぞれの部屋が分断されている感がある。
風呂も壁と床はタイル張り。
車庫外壁のトタンは全面にサビが出ている。
電気容量は間取りが6DKにも関わらず上限が30アンペアしかない。
正直問題点は山積みである。
手を付けようと思えばキリのない物件のため、ある程度の妥協はやむを得ないだろう。
基本的には、物件の第一印象を良くすることを優先させる。
やはり広く使われている砂壁と繊維壁に壁紙を貼ることが効果的だ。
畳の部屋についても何室かは洋室化してクッションフロアに変える。
仏間などについても極力和室感を抑える方向で作業を進めたい。
またこの広さで電気が30アンペアでは相当不便なので、業者に依頼して電気線の増強を依頼することになるだろう。
壁や床の施工は物件の広さを考えれば、施工の効率化が優先されるだろう。
6DKは私が扱った物件の中で、もっとも広いものだ。
これまでのように悠長に作業をしていては到底終わらないものだ。
とにかくスピード感を持って、効率的に作業を進めたい。
3軒目ともなれば初めて行う作業はかなり少なくなっている。
計画的に段取り良く作業を進め、来春までには確実に客付けを完了したい。
暇なときこそ長期的な視野に立つ:DIY中毒とバランス
9月末に2号物件のリフォームが終了し入居者募集を開始してからは、直ちにやらなければならないことはほぼなくなっている。
これまでほぼ毎日物件へ入りリフォームしていた時に比べると、暇を持て余している状態だと言える。
このような状態は久しぶりで、色々と考えることもあったのでここでまとめておきたい。
1.暇な期間の過ごし方
リフォーム終了後は
・法人の口座開設
・次の物件の内見、買付け
・車の車検
・大家仲間の物件で手伝い
・積んでいた本の消化
・会計事務
などを行っていた。
これらのタスクも当然重要なものではあったのだが、物件のリフォームがあるために後回しにされていたものばかりだ。
大家として成長するために欠かせない様々な要素。
上に挙げたタスクはどれも方向性こそ違えど必要なことだ、と頭では理解できる。
とはいえ物件のリフォームが終わり、DIYすることがなくなると私の中に
激しい焦燥感
が湧き上がってきたのだ。
2.物件のリフォームは成果が分かりやすいため中毒性がある
リフォームが必要な物件があれば、一刻も早く住める状態にし入居者を付ける。
不動産賃貸業をやっている以上それが最優先事項となる。
会社以外の時間はほぼリフォームに投入し、目の前に山積みになったTodoリストを片付ける日々。
肉体的、精神的にキツイときもあるが、目の前のタスクを消化できていれば日々達成感は得られるものだ。
俺は最優先事項を行っているのだ、という自信を持てるので自己肯定感も上がるだろう。
だがこの、目の前のタスクをひたすら消化する、という状態は中毒になりえるとも感じたのだ。
不動産やその他の分野について、机に座り本を読み勉強する、という行為はすぐにその成果が現れるものではない。
長期的な視野に立てば大きな成果をもたらすとしても、今すぐに達成感を与えてはくれず、毎日のタスクの達成になれていた人間は満足できないのだ。
この感覚は今回暇になり特に実感できたものだ。
自分が
短期的なDIYの成果に対し、中毒になっている
という感覚である。
物件のリフォームが苦痛で仕方がない、という状態はキツイ。
だがリフォームが最優先だから他のことはどうでもいい、と考えるのは危険だ。
そのようなバランスを欠いた考え方では、成功することなど到底不可能だろう。
3.何事もバランス
大家業のみならずビジネスは様々な要素が組み合わさった結果、その成果が生まれる。
物件のリフォームだけを極めても、客付け、物件管理、融資、税金などの要素が未熟なままでは非効率な戦いになることだろう。
自分の得意分野を伸ばすことは良い。
だがもっと広い視野に立ち弱い分野を伸ばすような、バランスを取ったリソース配分をしなければ成長できない。
このバランスという概念は何もビジネスに限った話ではない。
なんのために不動産業をやるのか、この問いを忘れてはいけないと思う。
普通の人間は幸福になるためこの道を志すのだ。
幸福もバランスを欠いた人生であれば、その総量は小さなものとなりかねない。
私は現在リソースのほとんどを不動産につぎ込んでいるが、その点を肝に銘じ不動産以外の優先事項も見直してバランスを取って行くべきなのだろうと思う。
とはいえ何かで成功しようと思えば、選択して集中させることも無視できず、当分は偏った生活を続けることになりそうである。
読書メモ:「図解でわかる!減価償却:小野恵」
今年度からは家賃が入ってきているため、確定申告をする必要があるため会計を勉強中である。
しかし今まで触れたことのない分野のため、想像以上に難しい。
単にレシートを集めて会計ソフトに入力していけば良い、と思っていたのは甘かったようだ。
自分で申告する場合、本を何冊か読みある程度会計の理解を深めておかないとソフトへの入力すら進まないだろう。
特に理解が難しいのは「減価償却」の概念である。
今回紹介する一冊は減価償却についての入門書。
非常に読みやすく大まかなイメージを掴むには最適だ。
これを読んだ後であれば、もっと難解で具体的な本も読めるようになるだろう。
1.資産と減価償却
・「資産計上する」とは資産の科目を当てはめ、決算時に減価償却すること。
資産に該当するものは建物、土地、機械、車両など多岐に渡る。
これらは「経費」として一括に計上できるものではない。
また資産にも種類があり、減価償却できるものとできないものがある。
・減価償却できる資産
(1) 業務に使用中の固定資産
稼働を休止している製造機械など、現在使用していないものは償却できない。
(2) 時間経過で劣化する固定資産
建物などは時間が経過すればその分だけ劣化する。
そのスピードに応じて耐用年数が設定されている。
この2つに該当しない「土地」などは減価償却できない。
・個人事業主は毎年必ず減価償却していかないといけない。法人は償却するかどうか任意である。
個人の場合、年度によって減価償却費を調整して黒字化する、または赤字を出すといった融通は利かない。
法人の場合はこの点で自由が効く。
・仕訳とは「2つ以上の勘定科目を使って取引の実態を表す」こと。
正 事務用品100/ 現金100 誤 現金100/現金100
借 方 / 貸 方
・減価償却の仕訳は「直接控除」と「間接控除」がある。
間接控除の場合、累計控除額が表示されるため、過去に遡った分の償却費が分かりやすい。
2.会計と税務の関係
・決算の流れ:決算書作成 → 申告調整 → 確定申告書作成
会計と税務という言葉の違いをどれだけの人が理解しているだろうか。
少なくとも私はこの本を読むまでは意識したこともなかった。
それぞれの主旨については次のように説明されている。
会計の目的:正しい決算書を作ること。 利益=収益ー費用
税務の目的:正しい税金計算をすること。 所得=益金ー損金
決算書は会社の成績表のようなもので、会社の経営状態を明らかにし金融機関や株主に対して説明するための重要な材料となる。
まずはこの決算書を作成することが始まりで、これを元に確定申告を行うのだ。
また利益と所得の違いについても、同じことを言っているようで実は全く異なる概念である。
利益、収益、費用とは会計の概念で、所得、益金、損金は税務の概念だ。
・中小企業はほとんどが、税務上の減価償却費=会計の減価償却費
減価償却費は税務上と会計上で分けることが可能だ。
税務と会計で償却費を分ける理由は、経営実態に合った形にするために行われる。
要は決算書をより良くするため、税務上の処理と変えるといったことだろうか。
しかし税務申告上、それぞれの会社によって償却基準が異なっては都合が悪いため、税務上の償却は法律の基準で行われる。
実際はこの区別を行っているのは大企業だけで、中小企業はどちらも同一の額で計上している。
3.建物のリフォームが「修繕費」か「資本的支出」か。
修繕費に該当するものは大雑把に言えば以下の2つの要素に該当するかどうかだ。
(1) 費用が20万円未満か。
(2) 3年以内の周期で必要な支出か。
この他にも微妙なラインを判断するための区分けはあるが、この2点に該当すれば修繕費。該当しないものは資本的支出と考えればよい。
資本的支出とした場合その減価償却期間をどうするかだが、色々な意見があるようだ。
建物の償却期間を適用し、建物が4年償却なら資本的支出分も4年で償却するパターン。
または高額な支出なら、そのリフォーム部分だけを資産計上して法定耐用年数で償却するかだ。
建物の構造ごとリノベーションするような大掛かりなものであれば、新たに建物を取得した形となり法定耐用年数22年かけて償却するイメージだろう。
だがDIYでリフォームを行う場合、このようなケースは稀だ。
厳密に考えれば資本として計上した部分は個別に償却するべきだろう。
壁紙部分は6年で償却、トイレなら15年で償却するという考えだ。
物件全てに行ったリフォーム総額をまとめれば、20万円など簡単に超過するだろう。
しかしリフォーム作業を個別に計上していけば、20万円を超えることはあまりないので修繕費として計上していける。
ただすぐに償却できない資本的支出が全て悪いかと言われるとそうでもない。
決算書上の経費が減り利益が増えるということは、会社の経営状態は良く見えるということだ。
金融機関から融資を引く場合、この資本的支出を活用して黒字を積み上げるといった方法もあるだろう。
4.おわりに
決算書の作成や確定申告については、規模が大きくなれば税理士にお願いすることも必要となる。法人を設立したのであれば尚更だ。
しかし専門家に委託したからといって、経営者が会計や税務について何も理解していなければ良い経営が出来るわけがない。
一番の勉強は実際に自分で決算書を作り、確定申告してみることだろう。
一度経験してみた上で、どの程度委託するか判断していきたい。
読書メモ「よくわかる!家賃債務保証の知識:中島拓」
賃貸借契約を家主と入居者が結ぶ際、連帯保証人をつけるか家賃保証会社に加入するかが必要となる。
この保証契約に関し学ぶなら今回紹介する一冊がオススメだ。
この家賃保証会社についてよく理解せず保証契約も不動産業者に任せきりだ、という大家は多いと思う。
契約中何も起きなければ良いが、家賃滞納や夜逃げなどが起こった場合、家賃債務の保証関係は理解していないと痛い目を見るだろう。
1.不動産賃貸と保証人
不動産の賃貸借契約を結ぶ際につける保証は2つの方法がある。
1つは旧来から行われてきた
連帯保証人
をつけるもの。
もう1つは近年増加しつつある
家賃保証会社
と契約するもの。
連帯保証人をつける方法はライフスタイルや家族との繋がりが変化する背景もあり、
年々減少傾向にある。
それに対し家賃保証会社と契約する方法は、増加傾向にある。
・賃貸借契約上の保証人は、契約期間内を包括的に「根保証」する存在
普通賃貸借であれば2年間が一般的だが、その期間の債務を保証する契約となっているだろう。
この根保証契約とは、2年間という継続的な取引が行われる契約に用いられるもので、他には就職時に取り交わす「身元保証」が該当する。これは就職する人間が、会社に損害を与えた場合、その債務を保証人に請求することができるという主旨だ。
・賃貸借契約を更新しても連帯保証人との契約も更新されるとは限らない。
普通賃貸借契約の場合、更新期間が過ぎ入居者が継続して住みたいのであれば、そのまま契約を更新することになる。
しかしここで注意したいのが
連帯保証人との保証契約も自動更新されるわけではない
ということだ。
入居から2年が経過すれば保証人の状況も変化して当然であり、改めて保証契約を結び直さなくてはその効力が生じない可能性が高い。
また普通賃貸借契約の場合、更新を家主が拒絶する場合、家賃滞納など「正当な理由」が必要となる。
・家賃滞納時は直ちに契約を解除し、保証人に連絡する。
賃借人が長期間家賃を滞納しているのに、家主が契約を解除せず賃借人に使用させたままにするのは「信義の原則」に反するので、保証人は一方的に保証契約を解除できる。
つまり家主が取るべき措置を怠り、いたずらに保証人の債務を増やすことは許されないのだ。
・賃借人と保証会社の契約でも連帯保証人が必要となる場合がある。
賃貸借契約の保証は包括的だが、保証会社の保証はその一部に限定される。
・物件の瑕疵および原状回復を原因とする不払いは、保証会社の免責事由となる。
つまり物件に不具合があり、修理するしないなどで家主と入居者が揉めていることを理由とする家賃不払いは、保証会社は代位弁済しないということだ。
・保証会社が夜逃げ、倒産した場合
基本的に別の保証会社に加入してもらうこととなるが、加入時の保証料を誰が支払うかが問題となりえる。最悪は家主が払うことになることもあるだろう。
2.保証会社と不動産業者との関係
物件の管理や客付けをお願いする不動産会社から保証会社を提案されることは多い。
家主にこだわりがなければその提案に従って審査をしてもらうだろう。
保証会社と不動産業者はお互いの利益で関係が繋がっている。
(1) 契約手数料
不動産業者が契約を取ると得られるマージンのこと。
この金額は保証会社が自由に決めることができ、一律で決まっているものではない。
規模が小さい保証会社は契約を取るため、この手数料を他社より多く出すことが多い。
小さな保証会社は当然その破綻するリスクも大きく、そのリスクを負うのは家主になるのだ。
(2) 与信基準
入居希望者と保証契約を結ぶかどうかは、各保証会社の基準に従って審査される。
傾向として大手の保証会社は審査が厳しい。
一方新興で小規模の保証会社は審査が緩い。
不動産業者としたら、せっかく入居希望者を見つけたのに審査で落ちるのはかなわない。
そのため不動産業者は
手数料が多く、審査が緩い保証会社
を選びやすくなる。
また家主も将来保証会社が破綻するリスクより、目の前の空室リスクを優先させるため、どこでもいいから保証会社の審査が通れば良い、と考えがちだ。
3.根保証の極度額を設定しないと連帯保証が無効になる
2020年4月1日に民法が改正された。
これ以降に連帯保証人をつける場合、保証する債務の
極度額を具体的に設定する必要
が出てくるのだ。
この改正点については次のサイトなどで確認してほしい。
極度額とは賃貸借契約において、保証人に降りかかりかねない債務の上限のことで、普通賃貸契約2年間で家賃が月5万円なら
2年間分の家賃(5万円✕24ヶ月)120万円+原状回復費用
を具体的に契約書に記載する必要があるということだ。
これまで連帯保証契約を結ぶ際、この金額を記載しないため気軽に契約していた人も具体的な120万円という金額を見ればためらうことは必至だ。
そのため今後はよほど親しい親族でもなければ、連帯保証契約を結ぶことは難しいだろう。
またこれまで結んでいた連帯保証も、更新時にこの具体的な金額を設定して契約し直さなければならないので、家賃保証会社と契約をし直すケースも増えるだろう。
4.おわりに
保証契約についてはいざ家賃の滞納などが起こらない限りは、気にする必要がないことかもしれない。
しかし、いざ起こってから勉強していては遅いだろう。
事前に大家が正しい知識を身につけ、備えておければ被害も最小限で留められるのではないだろうか。