砂壁への壁紙直貼り:木工ボンドを下地固め、貼り付けにフル活用
3号棟は壁全体に占める砂壁の割合が多い。
6DK中洋室は1室のみ。
他の5部屋及びトイレと脱衣所も含めて砂壁である。
その内のリビングは前オーナーがDIYしたのか、直接壁紙が貼ってある。
よって残りの4部屋をどうするかが問題となる。
これまでの物件では砂壁に対しては、石膏ボードを上張りした上で壁紙を貼ってきた。
だが今回は部屋数があまりに多く、その施工を行うことは現実的ではない。
よって今回は
砂壁に直接壁紙を貼る方法
に挑戦することとした。
1.下地固め:まず水溶きボンドで固める
築古物件の砂壁は大抵触っただけで砂がポロポロと崩れてくるものだ。
今回の3号棟も例外ではなく、この状態を下地にして壁紙を貼るのは心もとない。
恐らく壁紙をそのまま貼り付けても、表面の砂と一緒に剥がれてきてしまうだろう。
まずは下地をしっかりと固める必要がある。
固める方法として一般的なのは専用のシーラーを塗る方法だ。
せんい壁おさえ、なる商品がアサヒペンから販売されている。
しかしこの商品はかなりコストがかさむ。
せんい壁おさえは普通のホームセンターでも見かける商品だが、容量2リットルに対し価格は1,500円程度。
2リットルでは1部屋を塗り切ることさえ不可能だろう。
また他の一斗缶で販売されているペンキのアクどめシーラーにも、ある程度固める作用もあるため代用が可能だ。
しかしそれらも一斗缶18リットルで1万円近くする。
これらシーラーは固める目的で使うには不経済なのだ。
そこで採用した方法が
木工用ボンドで固める
というものだ。
単にボンドを砂壁に塗るというのも一つなのだが、壁全体にムラなく塗ることを考え、ボンドを水で溶いて伸びを良くしてローラーで塗ることにした。
広い範囲に塗ろうと思えばこうしないと効率は悪い。
ボンドと水を混ぜる割合についてだが、今回は初回ということもあり
ボンド:水= 1:2 or 1:1
で試してみた。
ボンドは一般のホームセンターで販売している最大容量のものであった、1袋3キロのものを使用した。
1袋500円程度だ。
これを水に溶いて塗れば1袋で1部屋を塗るには十分な量になる。
バケツにボンドと水を入れて、インパクトドライバーにつける撹拌機で混ぜる。
これを100均のローラーに付けて塗っていく。
だがその前に地ベラで一度砂壁をならし、出っ張りなどを取り除いておくといいだろう。
2.ボンド塗り時の注意点
必要な道具
ローラー(使い捨てになる)、バケツ、撹拌機、地ベラ
・水の割合が多いとネタが垂れやすい
施工しやすい割合を自分で試してみてほしい。
私の感覚的に1:2ではかなりネタが床などに落ちてストレスになる。
・養生の必要性は薄い
床の施工が終わっているなら必要、柱などは濡れ雑巾で拭けば足りる。
・一度ボンドを塗った部分は乾いて固まるまで二度塗りしない
砂壁は一度水分を含むと砂が落ちやすくなる。
・ローラーに付く砂はこまめに落とす
砂がついているとボンドがうまく塗れない。
・柱などはボンドが乾く前に拭き取る
ペンキほどではないが固まると取るのに苦労する。
施工後、ボンドが乾くまで数日間は見ておくべきだ。
今回施工したのは冬であったが2,3日は砂が湿り気を帯びていた。
完全に乾くまで次の作業をするべきではないだろう。
手で触れて湿り気を感じず、固まっているなら壁紙を貼っても問題はないだろう。
塗りムラなどでボンドが薄くなった部分はまだ触っても砂が落ちるかもしれない。
その場合はもう一度ボンドを塗ることもできるが、完全に固めきるのは難しいかもしれない。
ある程度の妥協も必要だろう。
また乾いた後でも地ベラをかけて凸凹をならしておくと良い。
3.固まった砂壁への壁紙貼り
いよいよ壁紙の貼り付けになる。
今回挑戦した上で分かった注意点を挙げていきたい。
・使用する壁紙は厚手で凸凹の多いデザインのものを選ぶ
どんなに砂壁を固めても下地は石膏ボードのように平らにすることはできない。
できるだけ下地の起伏を拾わないものを使う。
・のりは多めに塗る
これはのりなしの壁紙を使う場合だが、どうしても壁に貼り付きづらくなる。
・壁にボンドの原液を塗ってから貼り付ける
これが最重要かもしれない。
特に剥がれやすいのは壁の端の部分だ。
最低でも面の上下左右の端部分にボンドを塗る。
ベストは壁全体にボンドの原液を塗ることなのだろうが、現実的ではない。
・壁紙をならすときはローラーバケを使う
このローラーバケはよく使われているなでバケより、クッションがある分力を込めやすい。
壁にくっつきづらい砂壁だからこそ、入念に壁紙をならす必要がある。
そのためにこの道具は役立つだろう。
・壁紙の浮きはのりが乾くまで様子を見る
恐らく壁紙を貼った直後は中の空気が抜けない部分が多く出てくる。
これは数日経ってのりが乾くと空気が抜けていることが多い。
それでも一部抜けずに浮いている部分は出てくると思うので、その場合は壁紙用注射器などでのりを注射しリカバリーする。
・カッターの切れ味は通常より落ちやすい
下地が砂壁のためカッターの刃こぼれが激しい。
石膏ボードに比べて頻繁に刃を折る必要がある。
面の一辺を切るごとに折れば間違いはないだろう。
・壁紙を重ねたジョイント部分は全力でカットする
ジョイントの重ね断ちはカッターの刃を折った直後に全力で切る。
下地が傷つくとかは考えない。
そうしないと2枚目まで切ることができないからだ。
このジョイント部分には改めてボンドを塗って、剥がれを防ぐと良い。
4.ここまでやっても仕上がりは下地が石膏ボードには敵わない
ここまで施工の注意点を色々挙げたが、ここまでやったとしても仕上がりの出来は最低限といったところだと思う。
その出来は下地が石膏ボードと比べるとやはり落ちる。
砂壁への直貼りか石膏ボードを張ってからか、スピードとクオリティのどちらを優先させるかは難しい問題だ。
また一口に砂壁といっても種類は色々あり、細かい砂壁もあれば荒い砂壁もある。
恐らく細かい砂壁の方が難易度は低いだろう。
とにかく築古物件のリフォームで砂壁は避けて通れない。
方法は色々あるが一度挑戦し、自分に合ったやり方を見つけてみてほしい。