瓦屋根の雨漏り補修:穴をコーキングで塞ぎ様子を見る
3号棟には一部雨漏りしている箇所がある。
廊下の突き当りと横の洋室にかけて被害があるが、壁は壁紙が膨れて下地もブヨブヨになり、天井も木がふやけてしまっている。
不動産屋が言うには一年前にはなかったそうなので、最近被害が拡大したのだろう。
ここを優先して直さないことにはますます物件が痛む。
物件を購入後直ちに作業に取り掛かった。
1.被害状況の把握
雨漏り箇所は一般的には、室内の被害場所から真上付近にあることが多いと聞く。
しかし実は全く異なる場所から水が侵入しているケースもあることから、実際に確認しないことには特定できない。
今回は廊下の天井がボロボロだったので、この箇所を破壊して屋根裏を直接確認することにした。
すると写真のように屋根の野地板が見える。
その中でも明らかに傷んでいる箇所が分かり、そこを伝って柱なども雨漏り跡が続き天井へ落ちてきている。
野地板を触ってみると若干の湿り気もある。
どうやら雨漏りしているのはこの箇所で間違いなさそうだ。
続いて屋根側からも水の侵入箇所を確認したい。
屋根は瓦葺きであり、二階の窓から簡単に登れるようになっている。
私は本格的な高所作業は初めてだったので、できるだけ安全対策を取ることにした。
第一にヘルメット。
第二に地下足袋。
この2つを用意したが、さらに万全を期すなら命綱としてハーネスなども装備すると完璧だろう。
瓦屋根に登る際の注意点などを調べていると
コケの生えた瓦はものすごく滑る
ということを知った。
この物件の屋根には写真でも分かる通り、かなりの範囲に緑色のコケが生えている。
実際に地下足袋を履いて試してみると、確かにいつ足を滑らせてもおかしくない。
特にコケが水を含んでいるとまともに歩くことはできないだろう。
そこで私はまず屋根の掃除から始めた。
デッキブラシや雑巾を使ってコケを取り除く。
ヌメリが取れたことを確認したら、瓦が十分に乾燥するまで待つ。
その上でもう一度上に乗ると、今度は安全に歩くことができる程度にはなった。
2.補修の方向性
室内側から確認できた被害箇所を屋根側から見てみると、ちょうど屋根と屋根の取り合い部分というのか、水の通り道であった。
上から流れてくる水が、瓦の間に設置された板金の通り道を通して下っていき、雨樋に流れ落ちるつくりとなっている。
この板金の通り道は全体的にコーキングした跡がある。
おそらく過去にも雨漏りが多発した場所なのだろう。
通り道の突き当り部分にコーキングが剥がれたのか、穴が空いていて下地の土が手で触れるくらいになっているところがあった。
まず間違いなくここが水の侵入口だろう。
ではどうやって補修するか。
ベストは瓦を外し、傷んだ野地板を新しく取り替え、防水シートを貼り瓦を戻す、というやり方だろう。
しかしこの瓦を外すとなると一部だけでは済まず、かなり広範囲にわたり外さないと野地板の交換はできそうにない。
大掛かりな作業になり、慣れない高所作業で危険性は高い。
仮に外せたとしても、瓦の組み方を誤ると別の箇所から水が入らないとも限らない。
そのため今回はコーキングを打って穴を塞ぎ様子を見ることにした。
というのもこの雨漏りは雨の日に毎回発生するわけではなく、おそらく酷い雨のときだけだろうというのがこれまでの様子から分かるからだ。
どうしても駄目ならプロに頼むことも検討しよう。
室内側は野地板を多少補強して、破った天井は板を貼る程度に留める。
壁紙部分はOSB合板を張るに留める。
仮に新しい壁紙などでキレイにしたとしても、雨漏りが止まらなければまたやり直すことになるからだ。
3.コーキングと合板張り
屋根側は板金と瓦の間に空いた隙間をひたすら埋める。
水の通り道付近で他に怪しい部分もとりあえず埋めてみる。
だが屋根の隙間をむやみに塞ぐことで、毛細血管現象などが起こり思わぬところから雨漏りが発生することがあるので注意が必要だ。
板金部分のサビなどがあればそこに穴が空いて水が入る可能性があるが、今回そこまでの痛みはないようだった。
室内側からは、まず野地板の真下に合板を張り付ける。
今後水が入っても受け皿があることで多少マシになるように、との配慮からだ。
それから水でふやけていた天井は、ボンドとタッカーで薄いベニヤ板を張り付ける。
遠目からは板の違いは分からないだろう。
洋室の壁は下地が木の合板で直接壁紙を貼り付けている。
そのため石膏ボードを張り付けるわけにもいかないので、OSB合板をそのまま張った。
雨漏りの跡がある部屋の角を隠す形で最低限の範囲に張る。
OSB合板はそのまま張るだけで十分な見栄えとなるので使い勝手は良い。
4.おわりに
以上でとりあえずの雨漏り補修は完了。
作業から一ヶ月以上経った現在のところ、雨漏りの再発はない。
しかし今回の補修で雨漏りが止まったとしても、再発するのは時間の問題だ。
来年の夏、台風などで酷い雨が降ればどうなるかは分からない。
そうなればプロに頼み本格的な補修が必要となるだろう。
また入居者に対しても事前にその可能性があることを言い含めておく必要がある。