シロアリ被害部分の解体と薬剤散布
4号戸建の作業に着手して真っ先に行ったのはシロアリの被害がある木部の解体である。
前回の記事でも紹介したとおり、主に1階の床と柱に被害が見られる。
被害にあった木部がどのようになるかだが、木の内部がスカスカになり喰われた部分は崩れて粉状にもなる。
シロアリが木を土に還す役割を果たしているのがよく分かるのだ。
表面上は大した被害に見えなくても、ドライバーなどを差し入れてみると柱の内部はミルフィーユ状になり、建物を支える役割を担えなくなっていることが少なくない。
1 木部の解体
被害を受けている木部は主に
床下の根太、柱、窓枠、引き戸
である。
ここからはとにかく目に見えるシロアリの被害部分を解体していくことにした。
酷く喰われている部分は道具を使わなくとも手で壊せる。
下の写真にある脱衣所のかまちなどはその典型だ。
このときに洗面台や流し台もまとめて解体していく。
ここで必須なのが
バール、ガラ袋、防塵マスク
だろう。
大抵の木部は釘で固定されている。
解体を進める上でその釘を抜くのにバールは欠かせない。
大きめのものと、小さめのインテリアバールがあると良いだろう。
ガラ袋は尖った木材や釘が付いたままの木材を入れても破れない。
家庭ごみ用のビニール袋では入れられないものも、まとめておくことができる。
次は防塵マスク。
これだけ状態の酷い部屋を解体しているとどうしても粉塵が舞う。
この粉塵を吸いつづけ健康を害することは避けたい。
そこで必須なのがマスクだが、薄い安物の布マスクでは効果が薄い。
プロも使う「3M」ものを用意すると良い。
高級なものは吸気口とフィルターがあるので、メガネやゴーグルを付けていてもほとんど曇ることがない。
その上呼吸も安物のマスクと比べて非常にしやすい。
一度使うと手放せないレベルで、解体だけでなく残置物処理や大工仕事時にも役立つものだ。
さらに今回の解体で導入して効果をあげたのが
レシプロソー
だ。
購入したのはマキタの充電式レシプロソー「JR186DZK」
これを導入するまでは丸ノコと手ノコでひたすら柱などを切っていたのだが、色々と限界を感じたのだ。
まず丸ノコだと切断は簡単だが、基本的に床において切断しかできない。
頭の上に丸ノコを上げて切る、という行為は取り回しが難しく危険だ。
柱を真横に切ることもバランスが取りづらく難しい。
また手ノコなら自由に色々と切ることはできるが、肉体の負荷が相当大きい。
レシプロソーは木を正確に切ることはできないが、丸ノコに比べて軽量で荒く切断するには役に立つ。
刃が細いので細かい切れ目から一気に切ることもでき、屋内作業だけでなく植栽の切断にも使える。
ボロい木造住宅を手掛けるなら一台あって損はない工具だといえるだろう。
上の写真はリビングと廊下の間にある柱を解体するところ。
喰われた部分を取り除くと、土台に接触している部分がほんの僅かしか残っていないことが分かる。
この柱は後に真ん中付近で切断し、新しい柱と入れ替える作業を行った。
その作業はかなりハードだったので次の記事でまとめたい。
2 床下への薬剤散布
これだけシロアリの被害にあった物件は、現在進行系でシロアリがいると見て間違いない。
今後の被害を最小限に留めるためにも床下に潜り、シロアリ駆除剤を散布する必要があるだろう。
散布に使用したのは
薬剤、噴霧器、防毒マスク、不織布防護服
である。
薬剤は水で希釈するタイプのもの。
これを除草剤の散布にも使える噴霧器で希釈し散布する。
希釈するとはいえ薬剤は人体にも有毒。
床下という換気できない空間で行う作業のため、最低限防毒マスクは装着したい。
これは先に紹介した防塵マスクではダメ。
2つの用途は全くの別物のため、しっかりと使い分けるようにしよう。
最後に床下に潜る以上、全身汚れても構わない格好をしよう。
全身を覆う不織布のタイプはペンキを塗るときにも使える。
これは安価なもので十分だと思う。
後は床下を照らせる明かりを用意して潜り、基礎のコンクリ部分と木部に片っ端から散布していけばよい。
ところどころに蟻道があればそれを取り除いておく。
もし生きているシロアリを発見すればその部分は集中的に散布するべきだろう。
3 ボロ物件とシロアリはセット
築古の木造住宅とシロアリは切っても切り離せない。
どんなにきれいに見える物件でも、古くなればほとんどのもので多少の被害にはあってしまう。
また新しくとも運が悪いと相当な被害に合ってしまうこともある。
ボロ物件を扱う上でシロアリの対処を覚えておくことは必須だと思う。
以前にも紹介した書籍などでシロアリに関する知識を付けておいて損はないだろう。