窯業系サイディングボードの外壁塗装①:高圧洗浄とケレン作業
2号物件の外壁は窯業系のサイディングボードだ。建物の玄関側が特に荒れている。
表面はヒビどころか完全に欠けている部分もあり、普通に考えれば全面的な貼り替えが必要なレベル。
しかし現時点ではサイディングの貼り替えをするノウハウやスキル、時間的余裕もない。そこで今回は塗装する方向で行くことにした。
1.作業の方向性を検討
(1) 窯業系サイディングボードとは
窯業系とは簡単に言えば「セメントで繊維質を固めたもの」らしい。それらの原材料を板状に成形するようだ。サイディングの中ではシェアも高く、コストも安く抑えられる。
ただその分こまめなメンテナンスが必要になる。一般にサイディングは10年に一度塗装が必要だ、と言われるのも窯業系の特徴だ。他のサイディングなら金属系サイディングがあり、これは窯業系と比べて割高だがメンテナンス頻度は少なくて済むらしい。
(2) 物件の状況
今回の物件は築30年近く。この間恐らく一切塗装の塗り替えなどはしていないだろう。そのためチョーキングは全面に発生しているし、シーリング部分も固くなりヒビが入っている箇所も少なくない。
このままの状態で客付けをすることは難しい。何らかの方法で修繕する必要がある。
(3) リフォームの選択肢
・外壁の塗り替え
素人でもできそうなのが塗装だ。サイディング用の塗料もあるだろうし、多少壁に凹みがあったとしても、上から塗れば誤魔化せるだろうという目論見だ。ただ適当な塗り方をしたのでは、屋外ということもありすぐに剥がれてくる可能性がある。
プロのように10年保たせることは不可能としても、1年で剥がれてくるようなことは避けたい。多少値が張っても外壁に適した塗料を選択するべきだろう。
・サイディングの貼り替え
崩れてきているサイディングを見てみると、下地の板に釘だけで打ち付けてあるようだ。打ち付けた後、その周囲にシーリングや見切りの金具を取り付けているようなので、それらごと取り外すことは可能だろうと思われた。
しかし塗装と比べるとかなり難易度は高い。下手な施工をすれば、建物内部に水が侵入してしまうことも十分考えられる。
いずれはサイディングの全面的な貼り替えが必要になるだろう。しかし今回は塗装で凌ぐこととした。
2.外壁の洗浄とケレン作業
外壁に限らず塗装の前に必要なのは、下地の洗浄である。下地に汚れやゴミが付着していると塗料が下地に接着せず、汚れなどと一緒に剥がれてくる。特に外壁は普段掃除などはしない場所で、様々な汚れが付いているところだ。
プロはまず高圧洗浄機を使い、水圧で汚れやゴミを吹き飛ばす。広い範囲になるため手作業で磨くなどは不可能だろう。
私は今回ケルヒャーの高圧洗浄機を使って汚れを落としていくことにした。
使用したのはケルヒャーの「K2」。これは高圧洗浄機の中でもリーズナブルなモデルだ。主に洗車用のもので本格的なものに比べるとパワーは劣る。
だが水の噴出孔を近づければ十分な勢いになる。狭い範囲の洗浄であればこれで十分だと思う。
洗浄機は電源とホースで蛇口に接続すれば使用できる。ボロボロになった部分を重点的に洗っていく。この過程で中途半端に付着しているサイディングのカスなどをできるだけ吹き飛ばす。それに合わせて蜘蛛の巣やコケなども取り除く。
この過程は面白いほど色々なゴミが剥がれ落ちていく。
ある程度高圧洗浄でキレイに出来たら、水圧だけでは取り切れないゴミをブラシで落としていく。今回は最初にデッキブラシを使って磨いてみたが、結果的に大した効果はなかった。デッキブラシでは毛先が柔らかく、外壁が相手では削ぎ落とすことはできなかった。
そこで活躍したのがケレン用のワイヤーブラシである。
これは普通のデッキブラシよりも毛が硬く、古い塗装を剥がすときなどにも使えるものだ。ペンキのローラー用伸縮棒の先端に取り付けられるので、外壁など高いところの作業にも使うことができる。このブラシを使い手の届く範囲をサンディングしていく。
ある程度できたら再度ケルヒャーで洗浄する。
そのようなケレン作業を何度か繰り返して、剥がれてくる部分がなくなればオッケーだ。ここから先の作業は塗料を塗っていくことになるが、そのためには下地を十分に乾かす必要がある。
少なくとも作業2日前からは雨が降っていない状態で塗装に挑みたい。そうしないと下地に吸い込んだ水分が膨張し、塗膜を破る可能性があるらしい。そのため一般には外壁塗装を行うのは夏の時期が最低だ、と言われるのだと思う。
また下地を乾かすことを考えれば、高圧洗浄を行うのは雨の日の方が都合が良いだろう。
3.おわりに
塗装においてもっとも重要な工程は「下地処理」である。
どんなにキレイに塗装の工程を行ったとしても、下地がしっかりできていないと剥がれてくるまでのスパンが短くなるだろう。プロが行う今回のケレン作業はもっと本格的なものになるはずだ。ちゃんとした足場を組み、強力な高圧洗浄機を使い、全面漏らすことなくブラシで磨き上げるくらいのことはするだろう。
今回作業が出来たのは、手が届く範囲に限られる。ハシゴをかけて棒を伸ばして屋根付近も行ったが、平屋建てとはいえ全てに手が届くわけではない。そのためあくまでも普通に生活していて見える範囲内に留まっている点を了解してほしい。
次の作業は「シーリングの打ち替え」である。
外壁と同様に固まってひび割れたシーリング。要領は室内と変わらないが、意外と手こずることになる。