フローリングの捨て貼り工法①:フローリングは一列目が最重要
2号物件のリフォーム作業も大詰めを迎えている。
作業の順番は基本的に天井から床へ、最後に残していた作業はリビング兼寝室の床である。
リフォームの初期に畳から根太と断熱材を入れ、捨て板を貼ったままであった。
捨て板施工までの作業は以下の記事にて。
それからは天井をペンキで塗って、壁紙を貼っていった。
他の部屋の分の壁紙をカットしたり、糊付けする作業をするスペースが必要だったため、最後まで床の作業を先送りにしていたのだ。
他の作業があらかた終わり、床を汚す危険がほぼなくなったので、広さ10畳のリビングの床にフローリングを貼る作業を開始した。
1.フローリングで施工する理由
床をフローリングにする理由を簡潔に挙げるなら
私が未経験の作業だから
である。
私はこれまで床のリフォームに関してはほとんど、クッションフロアを貼ることしかしていなかった。難易度的にはもっとも簡単な作業だと思っている。
他に経験があるのは、フロアタイルをモルタル仕上げの玄関に貼ったことがあるくらいだ。あれはクッションフロアに比べると、既にカットされたものを一枚一枚並べる分手間はかかる。しかし玄関程度であれば大した広さではなく、一つの部屋全体に敷くのはクッションフロアだけであった。
それらと比べてフローリングの作業工程は多い。
フロア材をカットし、ボンドをつけ、釘打ちし、次のフロア材をサネに合わせてはめていく。明らかに難易度は高い。
だが住宅の大半はこのフローリングがどこかしらに使われている。一度はこの作業を体験し、やり方を覚えておく価値は十分にあるだろう。物件の状況に応じてリフォームの方針を使い分けられるスキルを磨きたかったのだ。
2.床の下地を整える
畳を処分し、捨て板を貼って以降はその上で様々な作業をしてきた。そのため床には色々なゴミや汚れが山積している。掃除機で吸えるものなら簡単だが、特に床に付着したままになるのが、壁に塗った石膏パテの残り。
パテは床に落ちてすぐ拭けば良いのだが、放置して固まってしまうと後からスクレイパーなどで剥がす必要がある。パテはかなり下地を盛り上げるので、気づかずにフローリングを貼れば、硬いフロア材といえども影響が出てしまうか、そもそも板がはまらないかもしれない。
床のデコボコは目で見ても分かりにくいので、手で触りながら確認する。盛り上がりがあればまずはスクレイパー、ダメならカンナがけを行う。パテなら簡単に剥がせるだろうが、合板自体の出っ張りならカンナで削るしかないだろう。
仕上げがクッションフロアならここの下地処理は念入りに行い、大きなへこみがあれば「アースタック」などの床用パテで埋める方が良い。フローリングであればへこみや穴はほとんど影響はでない。
3.フロア材の選び方、必要な道具
フロア材自体は近くのホームセンターで購入する人が大半だと思う。
フロア材は大きく分けて2種類あり「複合フローリング」と「無垢フローリング」だ。
賃貸物件として使うのは、大半が複合フローリングだろう。これは木材を何層にも張り合わせた量産品で、安いものなら2畳分が1箱になっており、5,000円を切るくらいだろう。高いものなら同じ広さで10,000円のものもある。
金銭的にも作業的にも複合フローリングの方が、安くて早く仕上がる。
一方無垢フローリングは、1枚のフロア材が1つの木材からなり、貼るときもそれを一枚一枚貼っていくもの。当然値段は高くなるし、作業もかなりの手間がかかる。
こだわった物件づくりをするなら検討する価値はあるだろうが、普通の賃貸物件でお目にかかることはまずない床材だ。
私は今回フローリング作業が初めてということもあって、複合フローリングを採用した。そしてそのフロア材選びであるが、私が訪れたホームセンターでの最廉価グレードはホームセンターオリジナルのフロア材で、2畳分で6,000円程度だったと思う。
だがその素材感は非常にチープで、ひと目で安物と分かる代物だった。それよりも1段上のグレードになるとEIDAIのもので、2畳分7,000円程度で販売されていた。これは最安のものより質感が良く、価格も1箱で1,000円しか違わない。今回はこれを使用することにした。
またフローリングの施工には他にも必要な材料がある。
今回使ったのはこれらの道具だが
・フロア釘
・床用ボンド
最低限この2つがないとフローリングを接着できない。
まずフロア釘について。
これはビスではないので、ドライバーでねじ込むことはできない。金槌で打ち込む細い釘だ。ビスになっているものや、エアネイラーで打つタイプなど色々ある。今回は最もシンプルで安価な釘を使用した。
次に床用のボンドだ。これも色々な種類があるが大事なのは「必ず床用のものを使用する」ということ。間違っても木工ボンドを使ってはならない。床用は木工ボンドとは成分が異なり、木工ボンドのように乾いた後重量がかかっても割れることがない。木工ボンドを床材に使用した場合、床鳴りが頻発することになるだろう。
4.フローリングの肝、一列目の施工
いよいよフローリングを貼り出すのだが、まず大事なこととしてフローリングが最終的にどんな形で貼られるのかを割り出しておかなければならない。
一番やってはいけないのが、部屋の端からいきなり貼り出し、最後の一列が非常に狭い幅になってしまうことだ。要はフロア材の幅を部屋の長さで割って、余りが少なすぎると、一列だけ異常に短くなってしまうということ。
これを防ぐには最初の一枚も短くして調整しなければならない。
もっとも確実なのは、部屋の中心線を出して、フロア材の位置を一列ずつ墨出しして、割付を確認することだ。そうすれば中心線も出すので列が曲がることも防ぐことができて安全だ。
今回私は中心線を出すような割り付けの確認は行っていない。幅と部屋の長さを概算したところ、最後の一列も十分な幅を確保できると判明したからだ。そのため部屋の端から貼り始めたのだが、これはミスだった。
割り付けは良くとも、部屋は直線に作られていない。
まずは中心線を基準にしてそこから平行に貼り始めるべきだった。部屋の端の形状に合わせてフロア材をカットした結果、最初の一枚目が微妙に曲線を描くことになってしまったのだ。
そうなるとそこに合わせる2列目も曲がり、フロア材がピッタリと貼れなくなり隙間が空いてしまうのだ。結果的に一列目の中央付近が凹んでしまったので、そこは端に隙間を空けることで修正した。その分2列目からは直線に近づけることができる。
貼り出しの際ベストな方法は、基準線を出し、各列フロア材の位置を決める。
その上で、一列目のフロア材に
フロア材端材で作ったの定規
を使って壁の形状を写すことだ。
これはクッションフロアでも使われる方法で「巾定規」を使うものだ。
この方法は文章での説明が難しいので、私が参考にした動画を観てもらいたい。
この動画の通り、フロア材の端を裏返して定規として使い、壁に当てながらその形状を一枚目に写し取る。その線に従って手ノコでカットすることで、壁との間の隙間を最小限に留めることができる。
これを単にメジャーで測るのみでカットしようとすると、必ずズレが出てくるだろう。この方法以外でも複雑な箇所では「型紙」を床に当てて写し取る、という方法もあるようだ。現場に応じてやり方を工夫すると良いだろう。
私は今回の施工で一列目の形状をメジャーで測り、細かい部分は目測で行いカットした。その結果として敷居との間にかなり隙間が空いてしまった。
手ノコではなく丸ノコを使って直線にカットしたのだがこの結果だ。つくづく部屋というものは実際は曲がっているものなのだ、と実感させられた。
この隙間へのリカバリーは見切り材を使用した。似た色を探し、フロア材の厚み未満のL字のものを使用する。
結果は見ての通りでほとんど違和感がない。
巾木が使えない場所では非常に重宝するだろう。接着には両面テープを使うとよい。
洋室であれば部屋の隅は巾木を取り付けるので、多少の隙間は簡単にリカバリーが可能だ。しかし敷居を残すリフォームの場合、今回のような部分が出てくるため、このような方法を取ればキレイに仕上がるだろう。
以上の方法を使ってフローリングの一列目は念入りに作業する。
そして一列目のカットが終わったからといって、すぐに貼り付けるべきではない。
まずは三列目くらいまで仮置きして、直線が出ているか、隙間が空かないかを確認してから接着した方が良い。この段階であればまだ修正は可能だ。
問題がなければ一列目からボンドを塗って床に設置する。
ボンドをフロア材と床のどちらに塗るかだが、それぞれにメリット・デメリットがある。
フロア材に塗る場合塗り漏らしがない。板の全体に塗ることができる。反面、設置時に余計なところにボンドが付く恐れがある。
床に塗る場合はその逆なのだが、仮置きのときに列の位置を墨出しておけば余計なところに塗る恐れはない。
ボンドを塗り、位置を確定させたら釘を打ち込む。
事前に下地に墨出ししておいた根太の位置に45度の角度で釘を打っていく。途中までは金槌で直接打ち、最後の部分はフロア材を傷めないように、ポンチを使って打ち込む。
このとき必ずサネ以上に打ち込むことを忘れない。ここでサネから釘が出たままだと、次の板がキレイにはまらないため、釘が木材にめり込むくらいまで入れよう。
これまでフローリング施工の注意点を書き連ねてきたが、やはり多い。
初めて挑戦するなら、動画や本などで十分に勉強してから挑むことを勧める。
次の記事ではさらに細かい点を紹介していきたい。