土留めとしてのブロック塀③:鉄筋の切断と立ち上げ
前回の記事ではブロック塀の基礎として、穴を掘り、底に砕石を敷き固めるところまで書いた。
今回はそこに鉄筋を組む作業である。
1.鉄筋とブロックの種類
(1) 鉄筋の太さと立てる間隔
まず決めたかったのが、鉄筋の太さと縦筋の間隔だ。
鉄筋の太さにはいくつかあるが、普通のホームセンターで扱っているのは
D10とD13
が大半だろう。
数字が大きくなるにつれて太くなる。
今回は土留めに使うため太めのD13を採用。
次に縦筋の間隔だが、一般に隣家との土地境界に立てる塀では、800mm間隔で
立てる。
これなら横方向のブロック2つに1つの間隔で入れることになる。
しかし、今回は土留めとして強度を高めるために、
400mm間隔、全てのブロック間に縦筋を入れる
ことにした。
(2) コンクリートブロックの厚み
塀を立てるためのコンクリートブロックは、その厚みによって種類がある。
薄いものから順に100mm、120mm、150mmが主なものだ。
それぞれ変わるのは厚みだけで、縦と横の寸法は同じだ。
厚みが増せばそれだけ重量が増え、10kg~14kgまでだ。
土留めや建築物の基礎として使用する場合は、当然厚く重量があるものが望まし
い。
今回はホームセンターで入手可能だった最も重い、150mmを採用した。
2.鉄筋をどう組むか
ブロック塀の基礎として鉄筋を組む場合、本やネットで書かれている方法は大抵型枠から組んでいる。
四角に基礎部分を囲んで中にセパレーターを通す。
立ち上げる縦筋は、そのセパレーターに固定することが大半のようだ。
しかし今回型枠は組まずに行う。
にもかかわらず、どうやって縦筋を立ち上げるか。
砕石の上に、ハシゴ状に鉄筋を組んで、L字に曲げた縦筋を底の鉄筋に固定するイメージだ。
ただこの場合L字の縦筋を支えているのは下側だけになるので、一度鉄筋を組んで
みて、倒れるようなら仮の横筋を通して支えよう、と計画した。
3.鉄筋の切断と配置
(1) 鉄筋の購入
まずは鉄筋の購入。
少し大きめのホームセンターなら売っているだろう。
D13の鉄筋は5000mmで500円程度。
購入すれば切断砥石を貸してくれるので、自由に切断して持ち帰ることが可能だ。
とりあえずは車に載る程度までカットして、細かい切断はディスクグラインダーを使うことにした。
ディスクグラインダーの切断砥石は、安いものなら1枚100円台で売っている。
今回のように大量に鉄筋を切断するなら、何枚か用意しておきたい。
(2) 鉄筋の切断
今回初めて大量の鉄筋を自分で切断したのだが、注意点をいくつか挙げたい。
① 切断時はかなりの火花が散る
火花を全身で浴びるつもりで望んだほうが良い。
グラインダーを持つ手には当然火花が飛ぶし、顔、足元にもある程度かかる。
肌は露出させない服装にして、マスクと防護ゴーグルを装着しよう。
またゴム製の手袋や長靴だと、表面が溶ける。
革や綿製品にしておこう。
② 鉄筋の切断面は高温になる
火花が散るくらいなので切断直後、その断面に触ると火傷をするレベルだ。
③ 砥石の切れ味が落ちてきたらすぐに交換する
鉄筋を大量に切断していると、切れ味が落ちてくることがわかるはずだ。
そんな砥石で切ろうとしても時間ばかりかかり、グラインダーの負担が増すばか
りだ。
④ 砥石交換時は砥石が固定できているか確認する
ありえるのか分からないが、砥石の固定ができないまま回転させ、その勢いで砥
石が飛んだりすれば大きな事故の元になる。
しつこいくらいに固定を確認すべきだろう。
(3) 鉄筋の配置と固定
鉄筋をカットできたら砕石の上に並べていく。
今回は穴のサイズに合わせて
7000mmの横筋 2本(繋ぎ合わせたもの)
350mmの奥筋 17本
を穴の底に、ハシゴ状に組み上げる。
7000mmと350mmが交差する点で固定するのだが、鉄筋の固定に使うのは
ハッカーとなまし鉄線
である。
ハッカーとは
このような形状で、先端がフック状になっており、そこになまし鉄線を引っ掛けてグルグル鉄筋に巻きつけて固定するものだ。
なまし鉄線は型枠用に小分けにされた形で安く売っている。
分量は1束あれば十分だ。
そして鉄筋を固定する作業に移っていく。
ハッカーの使い方は慣れが必要だ。
動画などを見ながら体で覚えるしかないだろう。
動画では簡単にやっているが、完全に固定させることは意外と難しい。
特に後のL字を固定するところだ。
全ての鉄筋を固定できたら、次は鉄筋と砕石の間にスペーサーブロックを置く。
この小さなブロックを置く目的は、鉄筋が地面と接することを防ぐことだ。
要は地面から浮かせることでコンクリートで鉄筋を包み込む。
そうすれば地面からの水分で鉄筋が錆びることはなくなり、強度が落ちることを防ぐことができるのだ。
4.鉄筋をL字に曲げ、固定する
(1)鉄筋の曲げ方
縦筋の鉄筋を立ち上げるには、曲げる必要がある。
曲げるには様々な道具があるが、最もローコストで済ませるなら
ハンドルと曲げ板
になるだろう。
どちらも鉄筋の太さに応じて使い分けが必要なので注意だ。
曲げ板は作業台など木の板にビスで固定して使うものだ。
鉄筋を4つの出っ張りの中に固定し、曲げの支点とする。
そしてハンドルを鉄筋にはめて、テコの原理を使って力で曲げる、というながれである。
ここで私が犯したミス。
ハンドルには短いものと長いものがあったのだが
単に安いというだけで短いものを購入してしまった
のである。
この2つの違いは、長いものはそのまま使えるタイプだが、上で紹介した短いタイプはハンドルに持ち手として
適した太さのパイプをはめる必要があった
のだ。
後からホームセンターで探す羽目になり、結果としてコストも変わらなかった。
最初から長めのハンドルを選ぶべきだろう。
立ち上げに必要な長さと、基礎部分で固定する長さを測り、目印を付けて曲げていった。
しかしその目印通りに曲げるためには慣れが必要だ。
曲げ板や作業台が動かないよう固定する必要があるし、ハンドルを鉄筋のどこに固定して曲げ始めるかで、曲げの角度や立ち上がりの長さが変わってくる。
意識したいのが、
鉄筋は直角には曲げられない
曲がり始めから終わりまでの曲線部分の厚みを計算する
一旦曲げ始めたら、その支点を絶対に変えないこと
である。
特に支点を何度も変えると、鉄筋はぐにゃぐにゃになり元の直線に戻すことは困難になる。
鉄筋を曲げるのは結構な力仕事だ。
自信がない人はバーベンダーというものがある。
[rakuten:tuzukiya:10245033:detail]
安いものなら5000円程度なので検討してみるとよい。
(2)L字鉄筋の固定
そしてL字の鉄筋を固定していくのだが、ここは苦労したところだ。
しっかりと固定するためには、底の鉄筋と隙間なく鉄線で固定する必要があるのだが、なぜか鉄線を巻きつけているときにぷっつりと切れることが多発した。
恐らく固定させようとして、必要以上の力で巻きつけすぎたのだろう。
本来であれば鉄筋をしっかりと配置できれば、そこまで力を必要としない工程なのだ。
そのため縦筋は重量で倒れてくる部分が出てくるので、鉄線を何箇所も巻きつけてどうにか立てたのが実情である。
最終的には自重で倒れないようにすることが、精一杯だった。
この次はいよいよコンクリートの流し込みになる。
今にして思う後悔が
この段階で最低限コンクリートの高さに水糸を張るべきであった
ということだ。
詳しくは次の記事で述べたいが
基本というものがいかに大事か
を思い知った経験だった。
↓次の記事↓