基礎の化粧モルタル補修:プロのモルタル塗りはレベルが違う
2号物件の基礎部分はコンクリで立ち上げ、目に見える部分にはモルタルが塗られ化粧されている。しかしそのモルタルの一部は、劣化し欠けている部分が見られた。
以前の記事でも書いたが、私はブロック塀を積んでいたときに左官職人さんと知り合っている。
その職人さんに、モルタルの欠けをどう補修するか相談したところ
「それくらいならやってあげるよ」
と言っていただいたため、そのご厚意に甘えることにした。
実際にプロの左官職人さんの施工を間近で見ることができ、たくさんの学びを得られたので紹介したいと思う。
1.垂直面にモルタルを塗る場合「軽量モルタル」を使う
まず前提として、モルタルといっても様々な種類がある。
私がブロック塀を積む時に使ったモルタルは、砂とセメント、水を混ぜたもので、普通のモルタルと言ってよい。
今回基礎の補修に使うのは、販売される時点で調合された「軽量モルタル」というものだ。ホームセンターで販売されているものでは「ハイモル」などが該当するらしい。
これは通常のモルタルと比べて軽く、粉で売られているものに水を混ぜるだけでできる。キメが細かく、粘着力が高い。壁やブロック塀の表面などの垂直面に塗る場合はこの軽量モルタルを使う。
これは通常のモルタルと比べるとコストが高くなる。調べてみると
25キロで3,000円前後
かかり、通常のセメントと砂が
20キロ1袋ずつ、合わせて数百円程度
と考えればかなり割高なことが分かる。だがプロであっても垂直面の施工においては軽量モルタルを使わないと、仕上がりが悪くなるらしい。
2.モルタルを二度に分けて塗る
今回は補修部分にモルタルを二度に分けて塗っていく。一度目に荒づけして、二度目でキレイに仕上げる。一度目に塗るモルタルには「速乾剤」と呼ばれる粉状のものを混ぜて練る。
この速乾剤を混ぜることでモルタルが早く固まり、作業効率が上がる。ただ速乾剤を混ぜたモルタルが乾くと、通常のモルタルより茶色く変色するらしい。
そのためこれを混ぜたモルタルは下地として使う。
必ず二度目は速乾剤を抜いたモルタルで仕上げるようにする。
今回の補修は垂直面かつ角の部分である。普通にモルタルを塗ったのでは、角を出すことはおろか垂直にすらならないだろう。そこで必要になるのが、当て木である。
上の写真のように直線の木材を当てて、水準器も使って垂直を出し、そこからモルタルを埋めていく。その状態でモルタルがある程度固まるまで待つ。崩れない状態になったら、他の場所に木材を当ててモルタルを埋めていく。下塗りの場合はある程度まで盛れればオーケーだ。
下塗りをしてから約10分、ある程度モルタルが固まったら仕上げ塗りだ。
下塗りと同じように木材を当てながら、モルタルをならしていき、片面ずつ角を作る。片面が固まったら当て木を外し、もう片面に当ててならす。そうすることで角が出来上がっていく。
両面ともにある程度固まったら、当て木を外しモルタルがさらに固まるのを待つ。
時間にして約15分。そうしたら表面をハケで仕上げる。
3.表面をハケで仕上げる
左官用のハケを水で濡らし、全体を撫でる。古いモルタルとの境界は特に念入りに行い、できるだけ境界が分からないように仕上げる。
なお、既存の基礎モルタルもハケで仕上げてあるのだが、現在の住宅基礎をモルタルで化粧する場合ほとんどがハケ仕上げとのこと。
その理由だが、コテだけでツルツルに仕上げてしまうと、表面にヒビが入った場合非常に目立つそうだ。経年劣化で多少のヒビが入るのは、どんな仕上がりでも同じなので、それを見越し外の基礎はハケで仕上げるのが一般的らしい。
作業は以上で完了。今回使ったコテは大小の中塗りコテ。
これらの材質はステンレス。メンテナンスを考えても一番使いやすいらしい。
鉄製のものもあるが、メンテナンスを怠るとすぐに錆びが出るので、プロでもステンレスを使うことが多い。
4.職人のコテさばきは真似できない
以上の作業を約30分足らずでやっていただいた。
いとも簡単そうに作業をされていたが、一つ言えるのは
素人が同じクオリティで施工することはまず無理だ
ということだ。特に角を作るのが困難だろう。角の仕上がりは驚くほど直角で、モルタルであそこまでできるのかと正直驚いた。
また職人さんに
私がブロック塀の天端にモルタルを塗っていたとき、どうしても角がガタガタに
なってしまう
ことを話したら
プロでも角をキレイに出すには当て木をしてモルタルを抑える
と教えていただき、上手くいかなかった理由が腑に落ちた。ブロックを挟み込むように当て木をして、モルタルをならすそうだ。
今回のようにプロからのフィードバックを得られると、自分の経験値が急激に上がるのを実感できる。自分の成長に繋がる人脈は大事にして、今後も長く続く関係を作っていきたい。
また職人さんからは、モルタル以外でも漆喰の施工方法などを詳しく教えていただいた。
以前からネットでも方法を調べていたが、プロからのアドバイスを貰えたことで作業の方向性が明確になった。
これを期に漆喰塗りにも挑戦して、DIYの幅を広げていきたいと思う。